8.21.2020

[film] Une fille facile (2019)

 14日、金曜日の晩、Netflixで見ました。夏のバカンスぽいのが見たかったから。
NetflixはTVには入っていて、一度ケーブルTVが工事で使えなくなったときに業者の人が入れていって、見れるのはわかっているのだがTVを切り替えるのが面倒なのであんま見ていなかった。でも考えてみれば契約しているんだからPCでもログインすれば見れるのかー、って気づいて、見た。(TV画面で見る映画はここに感想を書いていない。ヘッドホンしてPCで見るのを書いている。画面のサイズは関係ないの)

女性監督Rebecca Zlotowskiの新作。英語題は”An Easy Girl”。見初めてしばらくしたら英語吹き替え版であることに気づいてフランス語 - 英語字幕に切り替えた。かんじでないのよね。

冒頭、水着の女性が波打ち際でぱしゃぱしゃ気持ちよさそうにしている。
カンヌに暮らす16歳のNaïma (Mina Farid)がいて、といってもお金持ちではなくて母親がそこのホテルの従業員をやっているからで、おちゃらけた男友達のDodo (Lakdhar Dridi)とつるんで遊びながら演劇のオーディションに行こうよ、とか言っている。

ある日家にいくといとこで歳上のSofia (Zahia Dehar) - 彼女が冒頭の浜辺にいた人 - がパリから来ていて、昨年母親を亡くした彼女はずっと大人っぽい女性になってブランドもののカバンを気前よくくれたりして、言うこともなんかかっこよいのでぽーっとなる。お話は、Naïmaの視点と語りでSofiaと一緒だったひと夏の経験を語っていく。

SofiaとNaïmaが浜辺で遊んでいると、それを遠くから眺めているクルーズ船の存在を感じて、夜の波止場でふらふらしているとそのクルーズ船がおいでよ、って言ってくるのでふたりは乗りこむ(一緒にいたDodoは入れて貰えずふてくされて消える)。そこにいた船の頂点にいるのがAndrès (Nuno Lopes)とPhilippe (Benoît Magimel)のふたりで、ギターを爪弾いていかにも遊び人ふうのAndrèsと物静かなPhilippeはどちらも見るからに働かなくても平気な金持ちふうで、早速AndrèsとSofiaは船の奥に消え、Naïmaは追い出されることもないので夜中に船内をうろついているとねっちり絡みあっているAndrèsとSofiaを見てしまい、でもそれ以降、昼間も彼らに会うとおいでよ、って誘われるので彼らのサークルに入って一緒に食事したり、船でイタリアのカプリ島に遠出して、やはりお金持ちのマダムのところでランチしたり、でもいつも注目されるのはSofiaで、明らかに場違いで自分なんかお呼びでないことをわかっているNaïmaをPhilippeが見守っていたり。

なぜSofiaはもてはやされてあのサークルに入れて貰えるのか、AndrèsとPhilippeはなにを考えているのか、ただSofiaの身体目当てなのか、Sofiaはそれをどう思っているのか、自分はどう見られているのか、Dodoたちからは、母親やホテルの従業員たちからはどう見えているのか、などなど、Naïmaはいろんなことに息を呑んだり見つめたり考えたり、そうやって彼女は知ることになる。働く必要のないお金持ち連中にとって、Sofiaの肉は彼らが慈しむアートのオブジェと同じようなもので、でも一時の使い捨てで、白人ではないSofiaも自分もあのクラスのサークルには決して入ることができない、今のこの年頃の女性だったからだ、っていうサマーリゾートの政治のありようを。

やがて彼らの船はどこかに旅立って、Sofiaもどこかに消えてしまって、ほんとにほんのひと夏でかき消えてしまう、そういう限られた時間の出来事を”An Easy Girl”がTwitterでわーきゃー連投していくその生々しさと、それらの反対側でばっかじゃねーの、っていうSofiaのクールな目線と…

New Yorker誌のRichard Brodyさんがレビューで書いているように、これはÉric Rohmerの“La collectionneuse” (1967)とJacques Rozierの短編 - “Blue jeans” (1958)を女性の側から書き直したようなもので、特に“La collectionneuse”なんて冒頭そっくりだし、男の好きなアートコレクションが絡むし、くどくどしたAdrien(男)のナレーション(こじつけ)に対するHaydée = Sofiaからの回答のように思えてならない。 でもHaydéeはコレクションなんてしていなかったし、モラルなんてはあ? だし。 むしろ彼女はそういう態度からできる限り自由であろうとしただけなのだ、って。 それが夏ってもんじゃないか、って。

そしてこういうのがこんな夏にリリースされるのはきついなー。金持ちには関係ないだろうけど。


今日はたるいので会社休んで、昼間に映画館行ったらやっぱし客は自分ひとりだけだった。
映画が帰ってきたよ! でっかいスクリーンで見ようよ! のキャンペーンをやってた。 それはわかる、けどそうじゃなくても大丈夫、になってもう5ヶ月くらいか。

https://youtu.be/eUviffp1rOA

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