9月30日、月曜日の晩、Royal Albert Hallで見ました。この日はScalaでStarsの”Set Yourself on Fire” (2004)の全曲披露ライブがあって、チケットも買ってあって楽しみにしていたのだが、朝にこのライブがあったことを思い出し(ゲストが発表になってから考えようかって後回しにしていたの)、ゲストリストを眺めて頭を抱え、午後になったらリターンされたチケットが出てきたのかいつもの自分の席が空いていたので取ってしまった。 ずっと雨だし体調が最悪だった(からスタンディングはきつい)ので許してStarsのみんな。
開演は19:30きっかり。会場は自分たちも70th前後っぽいお年寄りばかり。
最初に彼の今のバンドであるRichard Thompson TrioがTrioじゃないけどな、と自分で突っ込みを入れながら1曲軽快に流して、最初のゲストのHugh Cornwell氏が。14歳から16歳くらいまで同じバンドでやっていたそうで、当時やっていたようなやつを、って”Tobacco Road”から。ふたりの会話 - Richard「このバンドのあと、どこで何やってたんだい?」 - Hue「あー、君と同じようにバンドってやつをやったりしてたのよ」と言ってThe Stranglersの”Peaches”をやる。ものすごーく変なかんじだが 、音はぱりぱりのエレクトリックでよいの。Hueとは3曲もやった。
続いて ボトムにAshley HutchingsとDave Mattacksが入り、pre-Fairportでやっていたトラッドを。Ashleyが66年の頃の日記を朗読する - パブで演奏していたRich Thompsonとかいう変な若造と会う、悪くない - とか(それ、出版してほしい)。
更にDave Peggが入って”Down Where the Drunkards Roll”をみんなでしんみり合唱したところで、 次のゲストのBob Mould氏。ギターのプラグを突っ込んだ途端に雷のような音が鳴って老人たちが飛びあがる。 BobはBobとしか言いようがなくて(外観は老人だけど)がんがんの2曲 - Sugarの”If I Can't Change Your Mind”なんかやるの。ギターふたつの絡みは背筋の伸びる気持ちのよさで、この音を足して128歳の老人組が出しているなんて誰が信じようか。 The Guardianのインタビューで彼が語っていたように今回のライブはRetrospectiveではなく、節目に友人や家族を呼んで好きな曲をやりたいようにやる、というものなのだろう。
前半パートのヤマはMartin Carthy氏で、彼とRichardのアコースティックギターの弦、それとDanny Thompsonのベースが向かいあうギターの板のあいだで反響しあう様がすばらしかった。なんであんな深い井戸みたいな音が出るのか。
30分くらいの長めの休憩時間にみんなビールを買いに走り、後半はRichard & LindaやFairport Conventionにフォーカスするのかと思ったらそうではなく、Thompsonの家族アルバムのような構成で、女性ゲスト(Maddy PriorとかOlivia Chaneyとか)がいっぱい出て、Thompson一家も“That's Enough”のときにTeddy, Kami, Jack, そしてLindaもバックコーラスで少しだけ出てくる。
前半のBob Mould以上に変てこだったのが”Spinal Tap”のDerek Smalls (Harry Shearer)氏で、メタルのなりで出てきて楽しかったものの流れのなかでは完全に浮いてたかも。
後半の個人的なヤマはLoudon Wainwright IIIで、まず自身の”The Swimming Song”を軽快に(泳ぐように)やって、続けてバックにDanny ThompsonとDave Mattacksが入り、”I Want To See The Bright Lights Tonight”をやる。ほんとうにBright Lightsが下りてくるかんじ。Loudonがいて、Teddyだっているのに、そしてこの曲なのに、Rufusのやろうはなんでこないのか。
後半のパブリックなヤマは(たぶん)David Gilmourで、最初に”Dimming Of The Day”をやり、俗にいうギターバトルみたいなシーンもあるのだが、悪いけど格がちがうかんじ。もう一曲は(DGが)ギターを擦りきれたテレキャスターに変えて、”Fat Old Sun”なんてやるの。こんな曲、ライブでやるのね。まったく、ぜんぜん関係ないけどSoundgardenの”Black Hole Sun”を思いだす。韻ふめる?
アンコールは1曲だけ、みーんな出てきて、客席もみんなわかっていて、国歌みたいに校歌みたいに立ちあがって”Meet on the Ledge”をうたう。(他にあるだろうか?) Sandy DennyもDave Swarbrickもその辺に浮かんでいるんだろうなー、って。
やってほしかった、聴きたかった曲はあと100曲くらいあったのだが、これはあくまで通過点の近況報告でささやかなお誕生会、ということで、次を待つことにする。
同様にこの人の蛇のように蠅のようにのたくる魔術としか言いようのないギターをもっともっと聴きたい、というのもあって、他方でこのひとのギターはどこまでも生ものとして瑞々しくてレジェンドとか円熟とは程遠いなにかであることもようくわかった。
つい先日、誕生日を迎えたもうひとりのRichard – Richard Hell氏も70 歳だという。 1949年生まれってなにかあるのかしら?
10.04.2019
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