10.03.2019

[film] The Man in the White Suit (1951)

24日の晩、BFIの同じシアターで、”The Flesh and the Fiends”に続けてみました。邦題は『白衣の男』。 白衣っていうより白スーツなんだけど。

Ealing Studiosのコメディで、Ealing Studiosのは英国のいろんなことが勉強になるのでかかると見るようにしている。
監督はAlexander Mackendrick。

なんでこれが上映されたのかというと、West EndのWhyndham's TheatreでSean Foley演出、Stephen Mangan主演によるこの映画の舞台版の上演が始まったからで、イントロでStephen Manganさんがおしゃべりしていった。映画には結構ダイナミックなアクションもあるのでそれを狭いステージ上でどう表現するかとか、そういうお話。

舞台はイギリスの北の方、Sidney (Alec Guinness)はケンブリッジ出の化学者で、繊維工場の隅で闇実験みたいなこと(実験のぽこぽこいう音 - 実験音楽みたい - がずっと鳴っている)をしていて、なんでそんなことをしているかというと、彼のやりたい実験はお金がかかるのででっかい工場でないとできないのだ、いいじゃんちょっとくらい、と。

で、追い出されたり受け容れられたりしつつ実験あれこれの結果、彼はついに汚れない - いつもぴかぴか - 汚れがついてもすぐ落ちる - とにかく丈夫で破れない - 放射能入りだし - 画期的な繊維を開発して(今ならありそうかも)、それでかっこいい白スーツを作ってみせるのだが、その発明を金の卵とみる会社側とそんなのができたら食いっぱぐれるとみる組合側で、商権だのなんだのを巡って争奪が始まり、でも彼はそう簡単に(どっちにも)渡したくないので追っかけっこになり、団子状態のぐだぐだに広がっていくのだがー。

恋愛のことも少しだけ出てくるけど、これは産業革命会社コメディで、会社や業界、そして組合のあいだで、というかそれらを突いてまわって(図らずも)きりきりさせてしまう青年化学者のお話で、なんでそんな大騒ぎになっているのかわからないなーってすっとぼけた顔で逃げ回る彼の目線で新技術を求める産業という営みとか支配層という連中のヘンテコな動きを眺めてみる、と。

ドラマのネタとして新しくておもしろいことはもちろんなのだが、Sidney役のAlec Guinnessの挙動振る舞いがとにかくすばらしくて、”Kind Hearts and Coronets” (1949)での一人八役も納得だし、”Star Wars” (1977)のObi-Wan Kenobiで彼を最初に見たときも、じいさん身軽でやるねえとか思ってしまったのだが、このひとの身体の動きはなんか飛びぬけてすごい気がする。 Star Wars sagaのEp1 - 3のObi-WanもEwan McGregorじゃなくてこの頃のこのひとがやればよかったのになー、って(Ewanごめん)。

同様のネタは高度成長期のにっぽんでもできたと思うけど、植木等のみたいなだとややおちゃらけ過ぎてて(あれはあれですばらしいけど)、主人公のイメージとしては三國連太郎かなあ。(もう既にやっていそうだけど)

お芝居の方は、評判よさそうだったら行こうかしら、程度。


RIP Kim Shattuck.   90年代のまん中、米国にいて、The Muffsの”Sad Tomorrow”が深夜のMTVでかかった翌日にすぐCDを買いに行ったなー。 彼女たちを聴いていたのでHoleはあんまし来なかったの。映画”Clueless” (1995)の(自分にとっての)イメージを決定づけたのも彼女たちの"Kids In America"だった気がする。 来日公演は三茶のに行った。ほんとうに大好きでした。 ご冥福をお祈りします。

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