10.27.2019

[music] Gary Numan

25日、金曜日の晩、Roundhouseで見ました。
40th anniversary tourの欧州での最後(11/1にLAのフェスに出るのがラスト?)。 Londonでの2 Daysの2日め。

こないだのHelmetにしても前の日のLloyd Coleにしてもこれにしても、ここのところ30年、40年ていう単位で振り返り総括みたいなライブをされて、それはめでたいことだし彼らにとっては節目でしかないこともわかっているのだが、受けるこちら側はそれをきちんと受けとめる準備ができていなかったというか、彼らに浸って聴いていた頃なんて30年後や40年後に彼らも自分らもまだ生きているなんて思っていなかったし、30年40年を生きるというのがどういうことなのかわかっていなかったし(まあ前世とかあったのなら別だけど)、自分も同じようにこの30年40年を振り返ってみる(なんもないや。からっぽ… )とか、少なくともそういうことを考える機会をくれてありがとう、と感謝とかしたほうがよいのかしら?

Gary Numanの中野サンプラザの初来日公演のときは高校生だったのでライブなんてとても行けなかったのだが、Tubeway Armyの”Replicas” (1979)はものすごく聴いて、たいへん影響を受けている - どこが? というと“Me! I Disconnect from You”とか"Are 'Friends' Electric?" といった曲のタイトルを並べてみればよい。友達をいっぱい作って世界を広げないといけない高校生の時にそんなの吹きこまれてシニカルに内に篭り、更にサルトルとか読んでいたので、もうどうしようもなく腐っていた(いまもな)。

そんなことよりなにより、肝心なのはこれが英国ではとても売れた、ということなの。本流パンクのおらおらマチズモに乗り切れなかった軟弱はぐれモノ共を大量に地表に曝して放った功績はあると思う。(そしてここから10年後のアメリカで、”Pretty Hate Machine”というタイトルのアルバムをひっさげ「コントロールされるくらいなら死んだほうがまし」っていうバンドが出てきて売れたのは偶然とは思えない。どうでもよいけど”Pretty Hate Machine”の一部は今回のライブ会場Roundhouseのスタジオで録音されているのよ)

いつものようにへろへろだったので前座はとばして21時に会場についた。若者もそりゃいるけどだいたい年寄りばかり。この年寄り - ほぼ男 - 共が「ぬぅぅぅーまぁぁあん! ぬぅぅぅーまぁぁあーあん!」て掛け声かけてたいへんやかましい。まるで放牧している牛かなんかを呼んでるみたいな野太い声で。

わたしは、なんでかいきなりダサくなってしまった”Telekom” (1980)以降はほとんとまったく聴いていないので、それらの曲についてはわからないのだが、最初からライティングは白色系のがんがんで、音は..  最近のNINのが膨らんでふやけたみたい、というか。 ただNINのライブの暴風のようにあっけにとられて持っていかれてしまう凄まじさはさすがにないし、ダンサブルに揺れながら盛りあがってくタイプの曲たちでもないので、落ちついて聴いていられた。

そうやって聴いてみると初期の曲のへなちょこB級パンクみたいな構造もくっきりと浮かびあがっておもしろかったり、あんなに陰鬱に聴こえた”Down in the Park”も緑のライティングでアッパーになってぜんぜん別の曲に聴こえたり、発見もあるねえ。”Cars”では背後に昔の白王子だった頃(があったのよ)のクリップも流れるのだが、さほどギャップを感じない気がしたのはIan McCullochみたいな刈り上げ頭にしているからだろうか。 そんなふうに、わーとか、うーとか言っているうちに本編は"Are 'Friends' Electric?" で締まる。

彼は終始どこまでも愛想よく笑って楽しそうで、でも曲間には喋らなかったのだがアンコールで”Replicas”をやったあとにようやく口を開く。
ここまでやってこれたのは君たちがいてくれたから、とかなんとか感動的なの。あのさーレプリカでアンドロイドで、”The Pleasure Principle”とか言ってた奴が、そんなこと語っちゃだめじゃん、って。 「いつまでやるのか? っていろんな人に聞かれる。ぜったいやめない(照)」 - で、この次にやるのはこんなやつだよ、と来年秋から新たに始まるツアータイトルでもある”Intruder”を。これはさすがに音がすばらしく活きているかんじ。

スタイルをいろいろ変えてきて、これからも変わっていくのだろうが、わたしとあなたの間にある壁だったりスーツだったり鎧だったり車だったりエイリアンだったり、つまるところ「わたしはなぜあなたではないのか?」問題をずっと掘り続けている、という点でこのひともTrentも遡ったその根はBowie、というのは短絡すぎるだろうか? 少なくともこれが思春期で終わるような易しいもんではない、死ぬまで囚われ続けて抜けられないなんかであることを示し続けている、という点は感謝したい。

その後、最後の最後に照れ臭そうにアコギを手にして1stからの*Jo the Waiter*を。こんなふうにアコースティックに始めた彼がここまで来たのだからおもしろいねえ。

あーそれにしても、(一日目にはやった)“Me! I Disconnect from You”とか、他にも聴きたかったのいっぱいあったのになー。

冬時間が始まったのだが、ずっと眠くて1時間得したかんじがまったくない。

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