9日水曜日の晩、Cine Lumiereで見ました。 LFFでは”Love”のカテゴリーに入っている1本。
英語題は”On a Magical Night”。 監督はChristophe Honoréなのでどうせ見る。今年のカンヌの「ある視点」部門に出品され、Chiara MastroianniがBest Actressを受賞している。
大学講師をしているMaria (Chiara Mastroianni)は若い男のアパートで情事して、帰り際にも別の男が気になったりして、でも家に戻ると結婚して20年になる夫のRichard (Benjamin Biolay - 実世界では前夫)がいる。 で、Mariaがシャワーを浴びている時に彼女のスマホに入ってきた男からの熱いメッセージを見てしまったRichardがぶつぶつ言うのでなんか嫌になったMariaは家を飛び出してアパートの向かい側にあるホテルにひとりでチェックインする – それがタイトルになっている「212号室」、なの。
少し気になったので窓越しに自分のアパートの方を覗いてみるとRichardはひとりでぼんやり佇んでいて、そしたら突然自分の部屋に若い頃のRichard (Vincent Lacoste)が現れたのでびっくりする。 更に当時のRichardの元カノのピアノ教師Irene (Camille Cottin)も現れてこっちを見ながらいろんなことを語りかけてくる。 IreneからすればMariaは自分からRichardをかっさらった女とも言えるし、当時のRichardがIreneからMariaに乗り換えたのだとも言えるし、それらはたぶんもちろん、あんなことをしてこんなことになっている自分自身の罪の(あるいはその逆の)意識みたいなやつがいろんな人の形(あるいはあれらはほんとうは… )をとって自分にとっての結婚とはなんだったのか、とか、これからもずっとこの状態でやっていくのか、とか、自分の人生って…とか、いろんなことを自分に問いているのだと思うのだが、そのうち60歳になったIrene (Carole Bouquet)まで出てきて、最後にはみんなでバー(”Rosebud”ていうの)で呑んで歌うしかない。
これが雪の散らつく寒い晩に起こった”Magical Night”で、ディケンズの『クリスマス・キャロル』や”It's a Wonderful Life” (1946)みたいなのをやりたかったらしいのだが、あれらよりもずっと生々しい迫力でくる(としか言いようのない)ものがあって、それはChiara Mastroianniの生々しい演技がすべてで、自分を半径とした修羅場をあんなにも他人のそれに繋いで透過させ、更に見ている我々のそれにまで結びつけてしまう。それを超越的ななんかの力とか借りずに彼女の生の身体と歌の力とか… で、今回の音楽はBarry Manilowの”Could It Be Magic” (1973)が天から降り注ぐの。
Honoréの“Les chansons d'amour” (2007) - “Love Songs”、もう一回見たいなー。
ところでOlivier Assayasの“Non-Fiction” (2018)のあの邦題はなに? 呆れてなんも言えない。バカにしてるわ。
Finishing School (1934)
9日の晩、"Chambre 212"の前にBFIで見ました。 これはLFFの”Treasures”のカテゴリーので、サイレントではなくて、Pre-Code時代(リリースは1934年のヘイズコード発効直前)の典型的な作品として、この当時は少なかった女性監督 - Wanda Tuchockが手掛けた作品 - しかも女子学園モノとして、いろんな角度から見て楽しめるよ、と(イントロで)。
Virginia (Frances Dee)が母に連れられて厳格なしつけの寄宿学校 - Crockett Hall finishing schoolに入るところで、校長はいろんな規則を並べたてるのだが、ルームメイトになったPony (Ginger Rogers !)は適度に素行不良してて、タバコすぱすぱ吸ったりおおざっぱで、そんな彼女たちの影響を受けてVirginiaも朝帰りとかするようになって、病院勤めの彼もできるのだが、学校側もうるさいので対立して孤立していくの ..
この頃からこんなふうなおてんば娘の学園コメディはあったんだねえ、って。
10.29.2019
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