10.21.2019

[film] Love, Life and Laughter (1923)

London Film Festival (LFF) のとか、いろいろ詰まっているので束ねて書いていく。

3日、木曜日の晩、Archive部門のLFF - Special Presentation(Gala扱い)としてBFI Southbankで上映されたもの。
ライブのピアノ伴奏(by Meg Morley)つき。

これはBFI National Archiveが1992年に”Missing Believed Lost”キャンペーンを実施してBFI’s Most Wantedの一本として血眼になって探していた作品で、それが2014年にオランダのFilm Museumからコンタクトがあって、缶に入ったオランダ語版のナイトレートフィルムがどうもそれらしい、と(配給当時、缶に入れたまま放っておいてくれたマヌケな田舎の映画館主に感謝、だって)。BFIのFilm Archiveは5年かけてそれを修復して英語字幕を付け直してようやくお披露目になりました、と。

最初の方はBFIの修復責任者の人が出てきてBefore-Afterの話を、実際の映像を見せながら説明してくれて、BFIのArchiveもこれだけお世話になっているんだから一度見学(ツアーやってる)行かなきゃねえ、って思った。

映画は、英国の“Queen of Happiness”と呼ばれた20年代の大映画スター、Betty Balfourさん主演による人情コメディ、かなあ。貧乏長屋(縦に長い)に暮らすBettyさんはMusic Hallでのスターを夢見るきらきら元気な女の子で、階下には作家を目指すやや暗い青年とか朗らかな風船屋の夫婦とかいて、Bettyと青年は仲良くなって、2年後に再会しよう、って約束するのだが…   物語は青年が書く小説の世界と現実世界が入れ子になっていて、その境目がよくわからないのが面白くて、最後にちょっとスクリューボールするの。

とにかくBetty Balfourさんがすばらしく華やかで、彼女が歌って(サイレントだから聞こえないけど)踊りだすだけでその場が爆発的に明るくなる。こういう、境遇は貧しいけどその明るさで弾けて飛んで突破するお話、って英国にずっとあるよね。

Sweet Charity (1969)

6日、日曜日の昼、BFIで見ました。これもLFFの”Treasures”の枠、50周年で4Kリストアされたもので、続けて始まる(もう始まっている)特集 - ”Musicals!”でも再びかかるの。

Charity Hope Valentine (Shirley MacLaine)は夢と希望を失わないNYのタクシーダンサー(殿方に指名されたらお金貰って踊ってあげる)で、冒頭から振られてふんだくられてセントラルパークの橋から落とされたり、大スターのVittorio Vitale (Ricardo Montalbán)のアパートで「なんだったのあれ?」なひと晩を過ごしたり、仲間のNickie(Chita Rivera) とHelene (Paula Kelly) – このトリオが素敵なの – とうだうだやっているのだが、あれもこれもうまくいかなくて、もうダンスやめよ、って職を探しに行った先で堅気のOscar (John McMartin)と知り合って - スタックしたエレベーターの中という典型的なあれ – 今度こそは、になって盛りあがっていくのだが、でも。

原作はNeil Simonで、まずBroadwayで同名のミュージカルになって、その舞台を監督して振り付けたBob Fosseがそのまま映画版でも初監督をしていて、きっとあれもこれもやりたかったんだろうなー、がいっぱい、最近のミュージカルとかPVにあるマスの勢いでがんがんゴージャスにアクロバティックに攻めたてるかんじ(あれちょっと苦手)ではなく、ひとりひとりの手先脚先しっぽをフルに使ってきれいな軌跡やうねりやふるふるを描くことに徹して楽しくて、そこにShirley MacLaineの底抜けの笑顔泣顔が被ってくるのでたまんないの。

NYの都会で、どうやったらダンサーが愛を見つけることができるのか、っていうのを公園とかアパートとかダンスホールとかいろんな場所を通過しながら懲りずに踊って回っていくの。ダンスってそもそもそういうものじゃないか、って。 あと、見方によっては”The Apartment” (1960) - 『アパートの鍵貸します』 でのFran (Shirley MacLaine)の彷徨いの変奏、と言えなくもないのかな?(Neil Simonはここからミュージカル”Promises, Promises” (1968)を書いているし) でもどっちにしても、こういう都会における男共ってどこまでも偉そうでやらしくて、女はとっても損な役まわりが多い。

Edith Headの衣装もいちいちすばらしいのと、音がとってもよいのでシアターで見たほうがよいかも。

最後、おまけにDVDの方に付いていたらしいAlternative Endingの分も上映された。ううむどっちかというと。

あと、ラストの公園のところでBud Cortが出てくるの。すぐわかるの。

なんとなく、『赤線地帯』とか『河内カルメン』を続けて見たくなったのはなんでか。

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