22日の晩、"Lola"の後(フランス女の子シリーズ)、これもフランス映画祭のなかのいっぽん。"Lola"の当日券を買った直後にチケットを買って(もう端っこしかなかった)、晩には売り切れていた。
『なまいきシャルロット』(だけじゃないんだよ)のClaude Millerの遺作。
原作はフランソワ・モーリアックの『テレーズ・デスケレウ』(1927)。
原作はテレーズが免訴になるところから入るが、映画は少女時代の、まだテレーズ・ラロックだったテレーズと幼馴染のアンヌが過ごす夏の日々から入る。 二人で狩りをしたり野鳥の首をぽきりと折ったり、この夏の少女たちの描写がすばらしく素敵で、そこからテレーズはアンヌの兄と結婚してテレーズ・デスケレウとなり、アンヌとは義姉妹となる。
でもテレーズはこの結婚は両家が勝手に決めたものだし、夫のベルナールを素敵と思ったことなんて全然ないし、もちろんそこに愛なんかなくて、かといって子供のように拒否したり逃げたりするわけでもなく、彼女の聡明さとそれ故の冷徹さでもって凡庸なデスケレウ家での結婚生活とベルナールを眺めている。 なんでこの夫は、この家族はこんななんだろう、なんで自分はここにこうしてあるんだろう。この不快感はなんなの?
やがて夫の服用薬の量を操作して彼を毒殺しようとした(あとちょっとだったのにな)として訴えられ、でも世間におおっぴらになると家の恥だから、と家族から隔離・幽閉状態に置かれて。
(原作はふつーに古典なので読もうね)
テレーズを演じるのは"Amélie"のAudrey Tautouで、見る前ははてどうかしら? だったのだが、この映画についてはぜんぜん悪くないの。 ダーク版アメリ、とでもいうような粘着系の眼差しと仏頂面で夫も自分もじっとりと追い詰めて罪の業火に浸かり、憔悴し、それでも断固自身を見失わない女いっぴき、を力みゼロでやっている。 そしてラスト、全てから解き放たれるパリのカフェでの彼女の清清した姿もまた。
もちろん、女の一代記、というだけではなく、少女時代、無垢であること、田舎、結婚生活、家族、体面、秘密、忘却、などなどいろんなのが入っていて、映画でそこまでぜんぶは難しかったのかもしれないが、でもどっしり見応えあるし、これ、ほんとに公開しないつもりなの? はずかしくないの?
7.06.2013
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