6日の土曜日の朝、新宿で見ました。
Christophe Honoréの新作(じゃないけど)が、日仏(もうちがうけど)以外のふつうの映画館でふつうに公開される(2週間だけど)、というのでびっくりして見にいった。
やっぱしCatherine DeneuveにChiara Mastroianniの母娘共演にLouis Garrel、ともなれば違うのね。
"Les chansons d'amour"とおなじようなダウナーなミュージカルで、ここぞというときに主人公達はぼそぼそうつむいて歌いだす。
『愛のあしあと』、英語題は"Beloved"。
64年、靴屋さんに勤めるマドレーヌ(Ludivine Sagnier)は、お店から持ちだしてきちゃった靴を履いてみた途端、「いくら?」て男が寄ってきたので娼婦になることにして、そんなある日、チェコからきた医師のヤロミルに運命を感じた彼女は彼についてチェコに渡る。
68年、娘のヴェラが生まれて、プラハが侵攻されて大わらわのとき、どっかの女と寝ているヤロミルに愛想をつかした彼女は彼と縁を切ってパリに戻る。
78年、パリで憲兵と再婚しているマドレーヌのところに突然ヤロミルが現れて一緒に寝て、やっぱり好きだからより戻そう、ていう。彼女はちょっとだけ揺れて、でもやめとく。
97年~98年、ヴェラ(Chiara Mastroianni)は恋人のクレマン(Louis Garrel)とロンドンに来ていて、パブで演奏するバンドのドラマーのヘンダーソン(Paul Schneider)に一目惚れしてしまうのだが、彼はゲイだったの。 それと、Ludivine SagnierからCatherine Deneuveに変身したマドレーヌは未だにヤロミル(こちらもMilos Formanに変身)と切れずにだらだら続いているのだが、その糸は雪の日にぷつんと。
01年、NYに向かっていたヴェラは911のためモントリオールのホテルに足止めをくらっていて、ヘンダーソンに車で来てもらうのだが、彼は恋人(男)を連れていて、3人で寝た翌朝、やはり糸が。
07年、マドレーヌの誕生会にクレマンが来て一緒に歩いていると、ふたりはすべてがはじまった64年のマドレーヌのアパートのところに引き寄せられていた。
40年以上に渡る愛の大河ドラマ、のようなもんではなくて、国を跨いだ運命のドラマでもなくて、情念とか愛の強さとか、そういうのから遠く離れて、偶然の出会いからずるずるだらだら引きずって引きずられていってしまう愛というもののしょうもなさをAlex Beaupainのミュージカルスコアと、それぞれのそれぞれにしみったれた歌いっぷりが盛りあげる、というか盛りさげる。
楽しくも嬉しくもないし苦しいことばっかしなのに、なんで恋なんかに堕ちてしまうのでしょうー、と。
んで、その感極まる(はずの)エンディングにとぼとぼ流れてしまうのが、The Gistの"Love At First Sight" (1983)だったりする。 しみじみああ同士よ、とか思ってしまうのね。
Chiara MastroianniとLouis Garrelて、そんなに相性よいように見えないのだが、今回の距離感はよいかも。 Louis Garrelて、世界で一番ビンタされるのが似合う男優だと思っていて、今度もちゃんと。
しかしなんでこんなふつーのドラマをR15にして、バカみたいにでっかいボカシ入れるんだろ。
つくづくあきれた。
7.14.2013
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