7.05.2013

[film] Lola (1961)

22日の土曜日の夕方、もぐら横丁を抜けてナントの港町へ。

上映前の会場でサイン会をしていたのはナタリー・バイ ?  わー。


この映画はほんとうに大好きで、何回も見ていて、それのリストレーションであればなにがなんでも必見、のはずだったのに気がついたら前売りは終わっていた。

美しいー。 溜息しかでないー。
でもなんで美しいのか、単にAnouk Aiméeの猫目・猫しなりがよいのか、Raoul Coutardのカメラなのか、Michel Legrandの音楽なのか、どいつもこいつもすばらしいことに間違いはないのだが、それだけではない気がして、そこが何度みてもあんまわからなくて、わからなくたっていいだろ、とおもう。

大金持ちぽい謎の男が車から降りたち、ローランは職場をクビになり、ローラとその息子はアメリカ人の水兵フランキーと仲良しで、14歳の誕生日を迎えるおませな少女セシルと母親の未亡人がいる。 ローランは幼馴染のローラと再会して彼女こそ自分の運命のひとだと思うがローラが愛したのは息子を残していなくなってしまったミシェルだけで、こんなふうにそれぞれがそれぞれに未練とかわだかまりとかを抱えつつ寄せたり引いたりの玉突きをしながら、今の暮らしから離れてどこかしらに行きたい行くしかない、と思っていて、結果としてナントの街から散っていく、それだけなの。

ミシェルに連れだしてもらうローラは、別々の男からトランペットをふたつ貰ったローラのガキは、ほんとうにこれから幸せになれるのか、やけになってアフリカに旅立つローランは? 軍に戻っていったフランキーは? ローラを羨ましそうに見ていた他の踊り子さんたちは? 望郷とか運命とか予兆とかありきたりの大文字のテーマには乗っからず、ひとりひとりの眼差しや足取りやステップを大きな貝殻のうえでゆっくりまわしてみること。 で、やがてその真ん中に浮かんでくる小さな光の粒を真珠、と呼んで、それはAnouk Aiméeだったり、Jeanne Moreauだったり、Catherine Deneuveだったりして、美しい女のひとがいないと世界はまわっていかないんだ、ていうことだけをJacques Demyはずっと言っていて、ミシェルもローランもフランキーもぜんぶ彼の分身で、女たらしで、ほんとうにいいの。 銃も戦争もいらない(はずの)世界がここにはあるの。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。