日曜日の11:50、飛行機を降りてから2時間半後、Union SquareのRegalで見ました。
この映画はなんとしても、なにがなんでも見たくて、公開に合わせて何度か出張も画策したのだが相次いで失敗し、最後はもうプライベートで行くしかない、と腹を括ろうとしていた、それくらいの。
”Knocked Up” (2007)(くだらなすぎた邦題は忘れた)から派生したおはなしで、あれに出てきたPete(Paul Rudd) Debbie(Leslie Mann) の夫婦がメイン、他にもJason Segelとか、あれに出てきたキャラは何人か出てくる。
"The 40 Year Old Virgin" (2005)や"Knocked Up"が童貞喪失や出産といった人生の一大イベントを扱っていたのに対して、これは共に40歳になっていろんなことにいらいら焦ってガタが来始めた夫婦と家族のおはなし(うー "Funny People" (2009) 、見たいよう)。
イベント、というより時間と共にやってくる避け難いなにかとどんなふうに向き合うのか、その事態を我々はどう笑い、何をおかしいと思うのか、とか。
へたをすると糞みたいな中高年向けの安心/元気/幸せガイドのようなとこに落ちてしまいそうな話を、見事にファミリー・コメディに仕上げている。 134分はぜんぜん長くかんじない。
ほんとうにファミリー・コメディで、Maude & Iris Apatowのふたりの娘のほかに、Judd Apatow映画の常連もいっぱいでてくる。Lena Dunhamさんも。
小さなエピソードの積み重ねから大事故が勃発し、さらに和解から絆の再確認へ、みたいなつまんないパスは通らなくて、自転車乗り、車の移動、エクササイズにダイエット、夫婦の会話、子育て、子供の学校、学校のあれこれ、職場のあれこれ、庭のパーティー、などなど、回廊のように果てしなく延びながら反復していく一連の動きと会話をえんえんと繋いでいく。 個々のエピソードにいちいち共感できるとか、わかる(くすくす)とか、そういうことよりもこの際限のない堂々巡りとはらはら、溜息、諦念を経て"This is 40…"と空を仰いで白目を剥いてしまう、その波と瞬間がくっきりと、時として残酷に刻まれている。
どうすることもできないし、かといって放り投げるわけにもいかない、滑稽すぎて笑えるようで、笑えない、でも笑うしかない、そういう状況なんだ。 40ていうのは。
Paul RuddとLeslie Mannのふたりの、なんなんだろうあのあたりまえのようにそこらにいる夫婦みたいな有様は、そして輝けるMaude Apatowの産湯の頃からそこにいるんだし反抗だってするわ、のノリは。 役作りとか、そういう域の話ではない。そういう揺るぎないベースの上で彼らを自在に動かして、彼らも勝手に動いていく。
そして、脳の底から痺れるくらいにすばらしい音楽映画でもあるの。 音楽全体はJon Brionで、主人公がとっても敬愛していて、自分のレコード会社で契約しているのがGraham Parker、という設定で、彼本人も、ライブもいっぱい。 The Rumourの名前だけで痺れるような人たち - Steve Goulding, Andrew Bodnar, Martin Belmont, Bob Andrews, Brinsley Schwarz - の演奏する姿も見ることができるし、最後のほうではRyan Adamsのライブが(Ian McLaganて、いま彼のバンドにいるのね)。
家族が一緒に乗っている車のなかで、Pixiesの"Debaser"を熱唱しつつ、それがいかに画期的な楽曲であったかを力説するも、「パパうるさい」の一言であっさり切られてしまうとことか、わかるけどね、でもそんなもんなんだよね(泣)。
他にもAlice in Chainsの"Rooster"とかThe Replacementsの"I Will Dare"とか、ラストにはWilcoの"I Got You (At the End of The Century)"のぜんぜん別バージョン(あれなに?)とか、いろいろたまんないの。
あーなんてすばらしいー、と余韻に浸ろうとしたのだが、エンドロールで流れるMelissa McCarthyの止まることを知らない爆裂NGでなにもかもふっとんでしまうのだった。
昨晩のJimmy FallonはBad Religionだった。 かっこいかったー。
1.31.2013
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