1.08.2013

[film] Mrs. Miniver (1942)

31日の午後、シネマヴェーラで見ました。シネマヴェーラでも今年最後の上映だったみたい。
ほんとは、前日の走る映画2本で一年を終われたら美しかったのかもしれないが、大みそかって、お掃除と片付けを諦めて(目をつむってなかったことにして)しまうと、することなくなっちゃうのよね。 と、映画館はそういう老人たちで溢れているのだった。

そうして見たのが『ミニヴァー夫人』。

英国の地方都市の典型的なミドルクラスの暮らしをおくるミニヴァー家は、デパートで見かけた素敵な帽子を我慢できなくて買っちゃったり、夫のほうは車を衝動買いしちゃったり、ちょっと背伸びした消費生活を楽しんで、幸せに暮らしていたのだが、英国が戦争に突入し、大学に行っていた長男は軍に志願して、旦那が船で敵の探索に駆り出されたり、ドイツ兵におうちに入ってこられたり、空襲に丸まって耐えたり、長男の許嫁が死んじゃったり、波乱万丈で大変なのだが、みんなでがんばるの。 エピソードが次から次へと流れていって慌ただしいのだが、個々のおはなしは戦時下の話とは思えないくらいに落ちついて、ちゃんとしている。

監督のWilliam Wylerが明確に言っているとおり、これは戦争プロパガンダ映画で、米国から英国へのエールで、みんな大変だけど持ちこたえて一緒にがんばろうー、えいえいおー、ていうのがまんなかにあって、それが牧師さんの最後のスピーチにくっきりとでる。 結構長くて有名なスピーチらしいのだが、『...これは人民の戦争、我々の戦争なのだ!我々は戦士なのじゃ! 戦うのじゃ! 神もそこはわかっておる』 とか言うの。 ほんとかよじじい地獄に堕ちるぞ、とか思うのだが、このスピーチの後でカメラがひいて、でっかい穴があいた教会の天井の向こうの空を戦闘機がV編隊で飛んでいくの。 じゃーん。

でもほんとこれくらいで、これ見て戦争しなきゃと思うひとはよっぽどポジで元気なひとなんだろうなー。 幸せな暮らし壊されるんだったら断固戦争反対にいくよねえ。 というのと、これを戦争プロパガンダ映画というなら、朝の連続ドラマ小説なんてほとんどそうではないか(うん、きっとそうなんだ ... たぶん)、とか。  あんま関係ないけどそれにしても、オリンピック招致運動って、なんであんなに気持ちわるいんだろうか、とか。

この作品、1943年のオスカー、作品、監督、撮影、脚本、主演女優、助演女優の6部門を受賞している。
そうなのかー、すごいんだー、と思ってから、でも最近のオスカー受賞作に感心したことなんてないから案外そんなもんなのかも、と思った。

というわけで、慎ましく穏やかに、でも戦争なんてぜったいやだからね、の決意を胸に年を跨いだのだった。

ここまでで2012年の分はおわり。 ふう。

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