12日の土曜日の朝、シネマヴェーラで2本見ました。
最初のが、『沙漠の花園』。
テクニカラー初期の宗教ドラマ。 宗教のお話しはともかく、色彩はうつくしー。
修道院で育ったドミニ(ディートリッヒ)は、ずっと看護をしていた父の死後、魂を抜かれてしまい、修道院のおばさんの勧めでアルジェリアに向かう。 そこで端正なボリス(シャルル・ボワイエ)と出会って恋に落ちて、結婚して沙漠に旅立つの。
沙漠でふたりはうっとりしっとり楽しい時間を過ごすのだが、ボリスはほんとは修道院で秘伝の極上ワインを造っていて、そこから逃げ出した坊主であったことが明らかになって、しゅんとしたふたりは反省して、ボリスは修道院に戻ってさようならするの。
中東の都会の喧騒、アラブの猥雑さ、狡猾な人々、に対照される沙漠の静けさと美しさ、ふたりの純で一途な愛で砂嵐並みに盛りあがるのであるが、神様の愛はそれらを全て超えて強く崇高でお手上げで、御慈悲もくそもなくて、これじゃ一旦僧院に戻ったボリスは再びぶち切れて逃げ出してしまうだろうし、ドミニはますます生きる希望を失って抜け殻になってしまうにちがいない、とおもった。
とにかく、沙漠のディートリッヒが冗談みたいに美しくて、しかもそれが動いたりするので、すばらしいの。 沙漠の変な動物とか、天から落ちてきたあれとか。
美人さんが出てくる宗教ドラマ、というとこないだ見た『雁の寺』を思い出す。
どっちも破戒僧がいて(一方は雁の絵を切り出し、一方はワインをもちだし)、女は堂々と揺るがなくて強くて、他方で光といい湿気といい、ものすごくちがう。 あたりまえだけど。 そもそも神様がちがう、ということで。
次に見たのが"King Solomon's Mines" (1950) - 『キング・ソロモン』。
『沙漠の花園』はデジタルだったが、こっちは35mmプリント版のテクニカラーで、傷んではいるけど、やっぱしこっちのがいいや。 沙漠からジャングルへ。
アフリカでずっとガイドをしている男のとこに、ダイヤモンドの山を探して落書きみたいな地図をもって地の果てに消えてしまった夫を探してほしい金はいくらでも出す、て、デボラ・カーが現れて、男はいやいや旅団を組んで旅に出るのだが、いろんな獣とか人食い人種とかいろいろ現れて人がだんだん減っていく秘境アドベンチャー映画で、最後は変てこな髪型の原住民のお家騒動に巻き込まれてどうしよう、なの。
リアル動物(フェイクは大蜘蛛さんくらい)がいっぱい出てくるのが楽しいのと、野生動物と原住民をほぼ並列に扱うのってPC的にどうなんじゃろでも当時はこんなもんだったのじゃろ、みたいな間抜けっぽいところがすてき。
それにしても、これのひとつ前の名作特集で見た"Zamba" (1949)でもそうだったが、アフリカの奥地にやってくる白人女性はなんでこうも傍若無人で偉そうでつーんとしてて助けてもらって当たり前、みたいなふうなのか。 猛獣よか人食い人種よかよっぽどこわいわ。
1.24.2013
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。