30日の晩、吉祥寺のバウスで。
今年最後の爆音、この映画も権利切れで日本で最後の上映となるという。 行くしかない。
冷たい雨がざあざあだし、お客さんはそんなに入らないのではと思って19:30に行ったら結構並んでいた。 誰もがこいつは行かなきゃと思った、ということだろう。 思わなきゃね。
午前中に見た「駆ける少年」もひらすら走る映画だった。走ることを止められない子供の映画。
これは、走ることを止められない列車の映画。 子供も列車もなかなかコントロールが効かない。 でも、子供が走っても危害は加えないけど、暴走列車は止めないと大変なことになる。 その程度の違い?
最初に見たのは2010年の11月、NYのシネコンで、音響が格段にすごい別料金の部屋だった。
見るのはそれ以来で、その間に311があった。 あれの後では映画の受け取り方は変わる、というのはじゅうぶんわかっていて、それも上映から足を遠ざける要因のひとつだったのかもしれない。
暴走する機械とそれに立ち向かう人々(しかも実話)、というネタはなんというか、とっても微妙だったのである。 … でもそれが覆ったのがこないだの選挙だったという。
暴走する列車を既存のシステムや組織は止められなかった(想定外、考慮不足)。組織の上層やメディアはわーわー集まってきていろんなことを言ったが、何一つ状況を変えられなかった。 そいつを止めたのはたまたまそこに居合わせた二人の知恵と勇気と意志だった。 たとえものすごく小さな確率であってもそれができた、本当に起こったということをもう一回、きちんと見ておくべきだと思ったの。
と、いうのとは別に、これの爆音はひたすら気持ちよくあたまの中の煤をさらっていってくれるので、単純にいけー、やったれー、みたいになってしまうのだった。
それとか、「駆ける少年」にもあったけど、走っている列車に全力で走って寄っていって届きそうなところで届かずにかーっとなって、だんだんわけわかんなくなっていくあのかんじ、とか。
複数のプロットがマルチトラックで重層的に流れていく、というよりはぶっとい1本のレールの上をぜんぶが一挙に流れていくワントラック録りの、ジェットコースターの怒濤の勢いがあるの。 レールに乗れるか乗れないか、がすべて。 "One Track Mind"。 停止するまではぜったい動きを止めるな、という挑発であり、呼びかけであり、あとは向こうが止まるかこっちが止まるか。あーめん。
ぜんぜんどうでもいいとこだけど、馬を運んでいた車に列車が激突する直前に線路の上をまるっこい動物が横切るの、あれってなに?
そしてこれが、Tony Scottの最後の作品で、こんなにメジャーで楽しい映画を沢山撮ったひとなのに、どこも追悼特集やってくれない。いくじなしー。
"True Romance"みたいなー、"Enemy of the State"みたいなー。
今年の夏には「天国の門」のDirector's cutが見れるという。それまではなんとか持ちこたえたい。
でもこれって、完全版の219分より3分短いのね。
映画が終わって外に出ると雨はあがっていて、寒いけど洗われたようでとっても気持ちよかった。
そういうとこも含めて、とっても素敵な映画体験でしたの。
1.07.2013
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