1.14.2013

[film] 今年の恋 (1962)

雪のやろう ー …

年初めの映画がSM ~ 吸血鬼大戦とあんまりな方向に向いてしまったので、少しはお正月ぽいのを見なくては、と4日の夕方、オーディトリウム渋谷の特集「イケメン天国! 知られざる木下惠介」で見ました。  イケメンも木下恵介もあんまよく知らないので、お勉強させていただく、と。

横浜の金持ちぼんぼん息子の光(田村正和)と銀座の小料理屋の息子の一郎(石川竜二)は仲良しでいつも揃って空き地に呼び出されて袋叩きにあったりして、一緒にぶつぶつ言い合いながらボクシングの試合に行ったり遊んだり、成績と素行は悪くなるばかりで、ふたりの保護者担当である光の兄の大学院生(吉田輝雄)と一郎の姉の小料理屋の看板娘(岡田茉莉子)は彼らの劣化の要因はお互いの家庭からの影響である、と思いこんでいて、実際に会ってからも互いの印象は最悪でつんけんいがみあうばかりなの。 ふたりの少年は無垢にやけくそに(今リメイクするのであれば間違いなくBLモードで)突っ走るのを兄と姉はじたばた追いかけていくうちに惹かれあっていって、それを見越してあざ笑うかのようにガキ共は熱海から京都へと逃走を続けて、最終決戦の舞台は大晦日の京都にー。

設定が素敵で、小料理屋の父親(三遊亭円遊)と母親(浪花千栄子)はゆるゆる適当な楽天家で、勉強なんかしなくてもどうとでもなると思っているから放任で、ぼんぼんのほうはみんな忙しくて家にいないのでばあや(東山千栄子)がひとりで口うるさく抑えこんでいて、吉田輝雄も岡田茉莉子もそれをわかっているが故に弟たちの教育には熱くなるのだが、でもそんなのどうなるもんでもないこともわかっていて、そんなことよか自分たちの恋はどうするのよ、って。

で、そういう設定の上の脚本もさらさら見事に決まってて、ふたりが何度かの衝突を繰り返しながらとげとげが溶けて仲良くなっていくとこなんてわかってはいるのにうますぎるー。

岡田茉莉子がいつものことながらすばらしい。やっぱり京都に行くべきかしら、と半ばうきうき悩んでいるとこで父親に「暮れの京都はいいぞぉー」って冷やかされて「アホ!」って切り返す秒速の間合いなんてとてつもないし、廊下を走りながら一瞬スキップする後ろ姿とか、いいの。
62年というと、『秋津温泉』と『秋刀魚の味』にも出ているわけで、最強だねえ。

まだジャニーズのようにぴちぴちの田村正和は、既にあの喋り芸を完成させていて、それがばあやのぼやきと組み合うところもほのぼのおかしい。

というわけで、とってもお正月映画のかんじがした。 今年の恋はどうかー。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。