12月28日、仕事納めの晩、シネマヴェーラで見ました。『殺人幻想曲』。
世界的に有名な指揮者のAlfred (Rex Harrison)は義弟がおせっかいで雇った探偵の自分の妻に関する調査報告 - 彼の不在中の夜中に、彼の秘書と妻が一緒にいた - をふざけんじゃねえ、と破り捨てて焼き捨てるのだが(ここまでの展開からして十分おかしいの)、演奏中にその疑念が勝手に暴走をはじめて、演奏曲ごとにいろんな計画(①ふたりをぶっころす、②小切手渡して妻にさようならする、③ロシアンルーレットで自分がさようならする)が頭のなかで沸騰して魔人の如く振り回す指揮棒が嵐を呼び演奏会は大喝采の大成功を収めるの。
で、その後で、彼は妄想のなかでは完璧に機能した計画を実行に移そうとするのだが、ぜんぶ見事に空回りしてしっちゃかめっちゃかになって、でも、結果だけ見るとすべてはなにごともなかったかのように落ちついてしまうのでよかったか、となるの。
妄想ではうまくいくことでも現実ではうまくいかないことばっかりできびしーっ、という落語みたいなオチの話、というよりは、変なひとのテンションとアクションは妄想も現実も超えてひたすらおかしいのだ、ということを横滑りに転がっていく事実のなかに示す。 Preston Sturgesのおもしろさって所謂ネタとかアイデアのなかにあるのではなくて、ドミノがぱたぱた倒れていくように出来事が繋がって流れて(流されて)いく、その歯車の動きのなかにこそあるの。
アナログ録音装置の操作がマニュアル見てもぜんぜんうまくいかないとこなんて死ぬほどおかしい。 古くならないんだねえ。
これ、CriterionのDVDが出たときにすぐ買ったのだが見れていなかった。また見よう。
ちなみに、DVDのライナーはJonathan Lethemが書いていて、全文はここで読めます。
http://www.criterion.com/current/posts/772-unfaithfully-yours-zeno-achilles-and-sir-alfred
1.04.2013
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