9.23.2012

[film] Trouble with the Curve (2012)

金曜日の晩、翌日は4時起きになるからとみんな早く解散してしまい、することもないのでまた同じAMCにのこのこ歩いてって、8時半くらいに見ました。
たまたまこれくらいしか時間が合うのがなかったのだが、この日が初日だったもよう。

監督はこれまでのEastwoodの作品でずっと助監督をやってきたひとで、撮影はTom Sternだし、製作はMalpaso Productionsだし、ほとんどClint Eastwoodの作品と言ってよいのではないか。

たぶん、彼のまわりの人たちが"Gran Torino"で彼の俳優人生を終らせてしまうのはあんましだから、て思って最後にほんわかしたのを持ってきたのではないか、とか。

Gus(Clint Eastwood)は引退まであと3ヶ月の老スカウトで、昔に妻に先立たれてひとり暮らしで、いろんなものに躓いたりぶつかったりしながら、冷蔵庫の食べかけのSPAM缶をそのまま朝食に頬張る、そんな冒頭の数シーンだけで、なかなかすごい。 ここまで哀れな老人姿を見せるか、と。
仕事も目がぼやけてよく見えないことが多くなったので医者行ってもわけわかんないことを言う(自分と同じ病名だ♡)から癇癪起こしたりする。

彼の一人娘Mickey(Amy Adams)は法律事務所でパートナーになったばかりのばりばりで、父のことが心配なのだが、会うと喧嘩になるので距離を置いている。

彼の最近の挙動が気になった職場の弟子(John Goodman - すごくいい)が、Mickeyに頼んで、彼の出先(ノースカロライナの田舎)に行って様子を見てあげてくれないか、と頼んで、娘は仕事の大きなヤマがあるのに、しぶしぶ出かけていくの。

そこでは地元の強打者が注目を集めていて、彼が出る試合をずっと追っていくのだが、目がよくないので、難儀している。 そうしていると娘がやって来て彼の横でサポートをするようになり、更にそこに昔Gusがスカウトして、その後同じくスカウトに転向したJohnny(Justin Timberlake)も絡んでくる。
Mickeyは、幼い頃から彼の横で野球を見ていたので、じつは筋金入りの野球オタクに育っていたのだった。 こうして、Gusが音を聞いて、Mickeyが見る、という親子鷹スカウトが誕生する。

ここには老人の孤独があり、父娘の葛藤と和解があり、娘の成長と恋があり、そして野球ドラマの痛快さがあり、ところどころ笑えたりもする、全体としてものすごく爽やかでウェルメイドなホームドラマになっていて、こんなにあったかくて素敵でよいのか心配になってしまうくらい。
一応とってつけたように封印されていた父親の暗い過去も明らかになったりして、そこだけ突然"Mystic River"になったりするのだが(あそこで使われたフッテージはなんの映画?)、とっても焼け石に水、みたいな。

あと、野球モノとしては"Moneyball"に真っ向から対立するのね。 同僚の若いスカウトでデータを駆使するいやな野郎も出てくるのだが、現場に行って見て聞かなければなにもわからないのだ、という老人の頑迷な理論が勝利する。 Jonah Hillとか出したらおもしろくなったのに。

Amy Adamsさんもすごく素敵なの。 彼女、"The Fighter"あたりからすごくよくなったよねえ。

邦題に「幸せの」とか「幸福の」をつけたらぶっころす、と思っていたらもう決まっていたのか。
でも、ぜんぜん意味不明、思考停止としか言いようがないね。
「カーブにご用心」でいいじゃないか。
 
ここまでがシアトルの3泊でみた3本、でした。
もうNew Yorkに入りました。

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