New Yorkには23日土曜日の夕方 - ホテルに入ったのは5時くらいで、そこからどうするかがまず問題だったの。 ATPの2日目(トリはAfgan Whigs)があるし、Starsがあるけどこれはチケット全然取れないし、Bon Iverはあるし、BrooklynでEmma Straubさんのイベント( Andrew McCarthyとStephin Merritt他がでる。ついでに24日は86thのBarnes & NobleでPeter Straubとの父娘セッションも)があるし、でも一番のもんだいはだるくてだるくてなんもやるきが起こらないことだった。(寝てればいいのに)
で、しょうがないのでなんか食べることにして、前回のリベンジ(3度目のトライ)でBattersbyに行ってみることにしたのだが、Fの線がメンテナンスで止まってて、途中の駅からシャトルバスに乗り換えたりしていて(最近の雑誌のNY特集、ブルックリンばっかしだけど、この辺の交通がどんだけ不便かわかっているのかしら)、でようやくたどり着いたら10時過ぎなら入れる、と軽く言われてしまったのでそれならしょうがない、と前回と同様、Prime Meatsに行って、Pork Schnitzel (ほんとにおいしい)を戴いて、そこからまたバス~地下鉄を乗り継いでHoustonのSunshineで見ました。 9:45の回。 この映画は絶対見るつもりだったの。
高校に入ったばかりの内気なCharlie (Logan Lerman)の目でみた高校生活と家族と、その他あれこれ。
周りから"Nothing"と呼ばれてもチャーリー・ブラウンみたいなにがにが顔で向こうむくしかできない彼が、The Smithsにどっぷりで、Mix tapeに"Asleep"を2回も入れてしまうような彼が、元気いっぱいのPatrick(Ezra Miller)とか彼の異母兄弟のSam (Emma Watson)とかいろんな人たちと出会ってだんだんに成長していくおはなし。 それだけなんだけど。
この作品に描かれているような高校生活が、今の(アメリカの、or 日本の)高校生にどう受けとられるのかはわからないし、リアルであるかどうかとかそんなことはどうでもよいのであるが、ここに描かれている彼らの青春は静かに、しかし美しく輝いている。
それは、ここまで言ってよいのか少しだけ憚られるのだが、かつてJohn Hughesが慈しみをこめて切りとった彼らの輝き、彼らの喜び、彼らの悲しみ、彼らの傷、それらが同様の繊細さと暖かさ(決して教育者のそれではない)でもって映しだされている。
それがどれだけ貴重で達成の難しいことか、John Hughesがいなくなった後、どれだけ鑑賞に値しない「リアル」だの「傷を癒してくれる」だの「元気になれる」若者の映画が量産されてきたことか。
原作者が自分の書いた作品をそのまま監督している。 この過程で失われた想いは殆どなかった、と思いたい。
Emma WatsonがDexy'sの"Come on Eileen"に乗って踊りだすシーンの、彼女がトラックの荷台に立ちあがりBowieの"Heroes"に乗って大きく両手を広げるシーン(予告で見ることができる)の素晴らしさを見てほしい。Charlieでなくてもぼーっとするし、青春映画の歴史に残る名場面になるとおもう。
この他にも、この瞬間がずっと続いてほしい、この場所からすぐにも逃げだしたい、などなど、どうしようもなくどうでもいい、でも切実で貴重だったあれらの瞬間がいっぱい突っ込んである。 そしてCharlieには、やはりどうすることもできず、やがてセラピストがやってくる。
でも、"Nothing"でも"Nobody"でも、勉強でがんばれなくても部活で活躍できなくても彼女ができなくても、Smithsの"Asleep"とか"Half a Person"とか聞いて動けなくなってても構わない。君はただ君であればいいんだ、という、その決意表明を"The Perks of Being a Wallflower"というタイトルに包んでそっと差しだす。
最近の映画では、"It's Kind of a Funny Story"(2010) - Zach Galifianakisさんが出ていた - に近いかんじはあった。
時代の設定は、おそらく80年代後半から90年代前半、流れてくる音楽は笑っちゃうくらいあれ、である。
The Smithsの"Asleep"をはじめ、XTCの"Dear God"に、Rocky Horror Picture Showのいくつか、Crowded House "Don't Dream It's Over", New Order "Temptation", Galaxie 500 "Tugboat", L7 "Pretend That We’re Dead", Sonic Youth "Teenage Riot", Cracker "Low", Pavement, Love & Rockets, Cocteau Twins、などなどなど。
Mix Tapeに思いをこめることができた時代、そういう時代に流れていた音楽の花束。
Emma Watsonさんをこの先"ハーマイオニー"と呼ぶ必要はないだろう。 それくらいこの映画のSamは強くここにある。
(Chloë MoretzにしてもElle Fanningにしても、こういうふつーの学園ものに出ていないのはなんだかかわいそうな気がする)
そしてEzra Millerもまたすばらしい。 そしてこの作品は、彼らの今後にとっても大切な1本して生き続けることになるに違いないの。
でもさあ、Anderson先生みたいな国語の先生(Paul Rudd。よい)がいて、一緒にいられる仲間にSamとかPatrickがいるんだったら、高校生活はぜんぜんましじゃん、とか。
ラストで「トンネルの向こうに見える光」を歌う音楽、といったとき、まず頭に浮かんだのがThe Smithsの"There is a light .."(映画はもちろんちがう)だったりする自分はやっぱしそうとうしょうもなかったのだな、と改めておもった。 でも今さらそんなこと言っても、とか、見たあとでいろいろきます。
9.25.2012
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