11.30.2010

[film] The Grapes of Wrath (1940)

ワイマール映画が終わってMOMAを出たとこで4:00ちょうど。
ここから4:30までにFilm Forumに行くには結構、相当しんどいのだが、すこし走ったらなんとかなった。
お手洗い行って、ポップコーンとお茶買って、席ついたら4:30。 Beautiful、だわ。

スタインベックの『怒りの葡萄』を原作にしたJohn Fordの40年作品。
小説と映画、今やどっちが作品として有名なんだろ。

公開70周年を記念して35mmのニュープリントが焼かれて、そいつが、2週間だけ公開されている。
70歳を迎えた映画とは思えない瑞々しさ、そして古老の巨大さと偉大さはそのままに。

大恐慌時代のアメリカの苦悶の民衆史とか、抑圧と怒りとか、社会構造と貧困とか、そういう問題意識からかぶりついてみるのもいいだろうし、単にひー、屑ばっかしだったとしてもいまの時代に生まれといてよかった、とか胸をなでおろすのもありなのだろうが、この映画で見るべきなのは、やはりその深く黒々とした映像の美しさ - それを美しさと呼んでいいのかわからないが、何故か我々を釘付けにする闇の深さ - ではないか。 

ひとはこの闇の前になすすべもなく立ちつくし、凝視するしかなく、しかし遠くからの声とかノイズとか - The Sound and the Fury - ははっきりと、繰り返し反響していくのを聞き、感じることができる。

この映画に関しては、ダイアログとか字幕はそんなに重要ではなくて(いや重要だけど、まずは)、全神経を目と耳にしてその世界に入ってしまえばよくて、これはそれだけのスケールのでっかい作品なんだとおもう。

MOMAのワイマールのを見てもしみじみ思ったことだが、白と黒の、光と影の間、映画の闇のむこうにはどれだけ深くおそろしい業だの霊だのが宿っていることか。
それらは映画製作者たちによって作りだされたというよりも、呼びよせられて、吸いよせられるようにそこに何かが来たのだとおもう。 そうとしか思えないような、磁場のような、霊場のような光と影のありよう。

というわけで、この映画のGregg Tolandのカメラはほんとうにすごい。
しばしばDorothea LangeやWalker Evansの写真に比較されて語られることが多いが、あれよかすごいと思う。

もちろん、他も、アカデミー助演女優賞をとったMa(おっかさん)もよいし、それを俳優さんの演技とは呼びたくないくらいに暗く、小汚くじっとりとしたHenry Fondaも。

この映画でのHenry Fondaは、顔よりもその声、重く沈んで粗く、でも耳に残って消えない声だとおもう。
そしてその声が、”I'll be all around in the dark - I'll be everywhere.” というとき、その声はほんとうにそこに、それこそeverywhereにあって、この声を起点としてSpringsteenは"The Ghost of Tom Joad"を書いたのではないか。

というようなことを、Peter Bogdanovichさんも書いている。(出典はどこだろ)

"There is possibly no more touching utopian speech in pictures than Tom Joad's vision of a better world at the conclusion of Steinbeck and Ford's The Grapes of Wrath, but it is Fonda's extraordinarily beautiful incarnation of this man and those words that makes the moment both transfixing and ultimately transcendent. 'I'll be here,' he concludes; and Springsteen is right that the ghost of Tom Joad will always be there to haunt American for its broken promises?the ghost of Henry Fonda as well, having merged seamlessly into that outlaw mystic."

そして、こういう映画がリバイバルされるたびに言われる「今でこそ見られるべき映画」みたいな賛辞については、思考停止だろと言われることを百も承知の上で、それでもやっぱし今でこそ、と言うほかない。

Tom Joadの声が至るところで、いまだに止まないのと同じように、アメリカの富裕層~支配階級のとんちきな豚頭も性懲りもなく変わっておらず、今やそれは間違いなく世界中に、無反省にひろまってしまっているに違いないからー。

そして、この作品は、昨今撮られているどんなドキュメンタリーよりも雄弁に、語るべきことを語って揺るがないのであった。 

[film] Varieté (Variety) (1925)

日曜日は、翌日から会社だし、なんかゆううつだったので、映画2本だけ。

2:30から、MOMAのワイマール映画特集で、25年、Ewald Andre Dupont による"Varieté (Variety)"。 
別の英題として"Jealousy"。

頑固で口をわらない服役囚28号がぼつぼつと語り始めた殺人の成りゆき。
(この映画もサイレントで、ピアノ伴奏+英語の通訳ヴォイス入り)

彼は空中ブランコの曲芸師で、Berta-Marieていう美人のパートナーができて、ショーで成功したいという野望が出てきたところにハンサムな曲芸師が現れて、一緒に組んで当てよう、ということになり、実際にショーは成功するのだが、彼はこいつがBerta-Marieを誘惑しているとおもいこんで、嫉妬に狂いはじめて、で最後には。

主人公の服役囚を演じるのが”The Last Laugh” (1924)のEmil Janningsで、"The Last Laugh"もほんとにすごくこわくて背筋の凍る映画でしたが、この映画の彼はあれよかリアルにこわい。 こわいったらこわい。
終盤、嫉妬に狂っていって、最後に相手を追いつめていくときの目のこわさときたら半端じゃない。
ほんとに狂ったひとでも、あんな目にはならないとおもう。

で、その目が、いまからおまえを殺す、ていう目をした目が、こっちに向かって歩いてくるわけですよ。 
子供がみたらぜったいびーびー泣く。 夢にでる。

あとは、空中ブランコ目線のカメラ(なかなかすごい)とか、それに興奮してざわざわする群衆とかがこまこまと、しかし見事に活写されている。 興奮のあまり煙草を食べちゃうおばさんとか、おかしい。

そういうもんだから、と言われたら、はあそうなのね、しか言えないのですけど、改めて、陰影のかっこいいとことか、画面構成の絵画みたいに決まっているとことか、すべてが極端で、凄すぎてあきれる。

映像における芸術-光と影とひとの動き、ひとの表情を白黒のフレーム上でどう表現し、実現するか、みたいなテーマは全てこの時点で、考えぬかれて、試されつくしているのではないか、という気すらした。

クライマックスの殺しのシーン以外でも、冒頭、刑務所の廊下を歩いていくその後ろ姿だけでも、既にものすごいなにかを語ってしまっている。

この特集、引続きいっぱい見たい。 
けど、ものすごく体力使って消耗することもたしか。 なんでかしら。

[film] Tiny Furniture (2010)

土曜日、54年のイタリア映画のあとで、ヴィレッジのIFCに移動してとっても現代アメリカした映画を見る。

現在24歳(映画出演時には22歳)のLena Dunham監督、主演、原作、による"Tiny Furniture"。 映画のサイトはこちら

この映画で2010 South By Southwest Narrative Feature Film Award ていうのと the 2010 Chicken & Egg Emergent Narrative Woman Director Award (←なんだろね)  ていうのを受賞している。

本人が主演している他に、実の母親も妹もそのままの役で出演している。でも名前は変えているので、リアル家族-お茶の間ドラマ、ではない。 はず。

実の母親はアーティストのLaurie Simmonsさん。 彼女のサイトを見ればああこのひとか、とわかるひともいることでしょう。

”Tiny Furniture”というのは、母親が自身のアート写真用に作成する小さなオブジェ(その撮影場面もでてくる)のことでもあるし、彼女が母親のスタジオ兼住居のなかで迷って途方に暮れる「大きな家具」-白いキャビネット棚、との対比としてもある、のだとおもう。

(あるいは、この映画自体も母親のプロジェクトの一環、として考えることにそんな違和感はないかも)

22歳のAura(監督本人)はカレッジを卒業して彼とも別れて、NYの母親の住処に戻ってきたのだが、母親は仕事で忙しいし、妹は詩のコンテストで賞貰ったりして優秀で、自分の居場所がない。飼ってた白ねずみはしんじゃうし。 レストランの予約受付のようなバイトをしたり、変な人たちと知りあって家に泊めてあげたり、つきあってみたりするが、長続きしない。 あたしのあしたはどっちだ。

で、この映画のコピーにあるように

"AURA WOULD LIKE YOU TO KNOW THAT SHE'S HAVING A VERY VERY HARD TIME"

と大文字のフォント(大)でわめいてみたりするものの、ふうん、みたいな反応しか返ってこない。

そんな、極めてオフビートな日々がAuraの仏頂面とトドみたいな体型と一緒に綴られているだけなのだが、なんかおかしい。 ものすごくおかしい。

この映画、Mumblecoreの流れに位置付けられるのかもしれないし、Wikiの同映画リストにも入っていたりするのだが、Mumblecoreの映画をちゃんと見たことがないのでなんとも言えない。
でも、例えば、"Greenberg"のかんじには近いことはわかる。

本人はうにゃうにゃあぷあぷしてて大変で全身パニックおこしているのに、周囲はぜんぜん気にしてなくて、がんばってくれたまえ、みたいな冷たさ。 そしてそれがぜんぜんかわいそうにみえない悲劇というか喜劇というか。

こんな内輪受けに終始するような映画を作ってなにが楽しいのか、という意見は当然でるとおもうが、ようく見てみれば内輪のジャーゴンは極力排していることや、カメラの配置やクローズアップの角度に細心の注意を払っていることがわかるはず。 
リアリティTVの小汚い画面作りとはぜんぜんちがう。

むしろ、リアル家族や友達を使って撮るからこそ、そういう要素は周到に排除した。
結果として、家族との会話や動作のほんとにおかしなコア(しかもそれが延々繰り返される)、みたいなとこが浮きぼりになった、と見るのが正しいのではないか。

いや、まあ、なにが正しいとかそんなことよりも、ふつうにおかしいの。
Auraが眉と顔をしかめてごにょごにょ言っているだけで、あんたおもしろいよ、って。 (動物をみてるかんじに近いかも)

たぶん、何がリアルか、とか、何を伝えたいのか、とか、そういう教科書的なアプローチから離れたところで、これってなんか変だよねえ、と撮っていったらこんなかんじになってしまったのではないか。
そしてこれが、これが起こる場所が、ロンドンであるかもだし、東京であるかもなのだが、そんなのはどうでもいいよ、いまここで起こっていることがこれだ! みろ! みたいなそういうお手軽にちゃかちゃかしたとこもいいかも。

Miranda July の映画(が最初に公開されたのもここIFCだったな)が日本で公開されたのであれば、これも公開されたっていいはず。 されてほしい。

あと、IMDbにあったこれ(↓)すごく気になる。

Untitled Judd Apatow/Lena Dunham Project (TV movie)

11.29.2010

[log] Record Store Day - Nov.26 -27

金曜日のRecord Store Dayで買ったブツは以下。
(実際に買ったのは土曜日、Generation Recordsで)

・Pantera "Cowboys from Hell - The Demos"

・The Doors - 1stのOriginal Mono mixes.  Boxで売ってたやつのバラ売り。

・Grinderman "Heathen Child"  - 12inch single.
   B面がGrinderman/Robert Frippによる"Super Heathen Child"
   ジャケットが(悪)夢にでそうなくらいに怖くて、封入されているポスターが更にすごくてあきれた。
あそこの毛が赤くて、盤も赤い。

あとは、7inchで、

・Bob Dylan "The Times They are A-Changin'" / "Like a Rolling Stone"
・Bruce Springsteen "Save My Love" / "Because the Night"
・Gaslight Anthem "Tumbling Dice"   - ジャケットが薄緑ですてき。

まだ手に入るのをどっかで見かけたら、そりゃかうかも。

他に、Record Store Dayとは関係ないが、Jesuの”Heart ache & dethroned”の12inch 2枚組を。限りなくジャケ買いにちかい。


Thanksgiving当日の昼は、ついにあこがれの、何回訪れてもだめだったBrooklynのPrime Meatsの予約が取れたので、いった。

Lancaster County (がどこにあるのかも知らないが) のRoasted Turkey。
きょういてき。七面鳥がこういうもんだとしたら、世の中の七面鳥の殆どはにせもん(ごめんね、きっと焼きかたとかだよね)だとおもった。 それくらい常識がひっくりかえった。
ソーセージのつけあわせで出てきたSauerkrautも、あつあつのプレッツェルもしょうげきだった。

お店は、マンハッタンではやはり作りようがないおちついた雰囲気。(写真)
これはまた来ねばなるまい。












ううやばい。TVで"Ace Ventura: Pet Detective"がはじまってしまった。
ねないとー。

[film] Too Bad She's Bad" (1954)

Leslie Nielsenさん、R.I.P.

土曜日は映画2本。

Lincoln Centerで、今年の7月に亡くなったイタリアの脚本家/WriterのSuso Cecchi D’Amicoの追悼上映がかかっている。

”The Films of Suso Cecchi D’Amico”

ViscontiやAntonioniをはじめとして、ものすごい数の脚本を遺した(IMDbの"Writer"でみると118本ある)ひとなので、とても全部追いきれたものではないが、どうせなら見たことないやつを、ということでAlessandro Blasetti監督による54年作、"Too Bad She’s Bad"を。
"Screwball comedy—Italian style! " てあったし。

Marcello Mastroianniが真面目なタクシー運転手で、Sophia Lorenが泥棒一家(パパがVittorio De Sica)にそだったセクシー悪ねえさんで、マストロヤンニがひっぱりまわされて散々な目に会うのだが、最後はなんとなく落着して、Kissしてめでたしめでたし。

最近は妖怪みたいに溶解してきているソフィア・ローレンが、まだ若くてぶりぶりで、脇毛もあって、"Bing, Bong, ~ ♪"とか変な歌を口ずさみながら男を手玉に取って、ぜんぜん動じない魔女みたいな役なの。

最後のほうの全員一網打尽の警察でのどたばたも、極めてイタリア的に、つまりどうしようもなくいいかげんに、落語みたいに落ちてしまう。これってScrewballじゃないよねえ、とか思わないでもなかったが、イタリアの夏の景色とソフィア・ローレンとあの変な歌がすてきだったので、よかった。

写真は土曜日の朝。 ほんとうにさむかったんだよう。

[film] Love and Other Drugs (2010)

金曜日は、Black Fridayで、みんなが早起きしてお買い物に突撃する日、ということになっている。 

んで、この日は、Record Store Dayでもあって、一応Other Music(祝15周年!)とかにも行ってみたのだが、あんましなくて(このはなしはまた後で)、すんごく寒いのでコートとかほしいかも、と思ってSOHO周辺でできるおかいもん、ということでJ.CrewのLiquor Storeとかにも行ってみたものの、いまいちノれるものもなく、しょうがないので、映画一本だけ見て帰りました。 

お買い物もだいじだけど、やっぱし愛がなくちゃね、ということで、"Love and Other Drugs" を。

"Brokeback Mountain" (2005)でぼこぼこにされて死んだはずの(死んだんだって…)Jake Gyllenhaalくんと、同じ映画で"The Princess Diaries" (2001)の頃からの善良なファンの度肝をぬくような格好で出てきて周囲を当惑させたものの、"Rachel Getting Married" (2008)がぜんぜんはまっていたものだから本性はひょっとしたらこっちなのかも、という気がしてきたAnne Hathawayさんの共演によるラブ・ストーリー、でございます。

設定は96年。 元気いっぱい、やるきいっぱいの富山の薬売り、じゃないPfizerのセールスマンを演じるのがJakeさんで、売りこみに行った先の病院でAnneさんに出会って、Anneさんは初期のパーキンソン病で、ほかにもいろいろ不安定で、でもやりまくるうちに仲良くなって、でもいろいろあってやっぱり離れたりくっついたり、というおはなし。 

背後に(当時)バイアグラがあたって大騒ぎ大儲けのPfizerのはなしも絡んでいて、で、それらが"Other Drugs"としてあるわけだが、愛は、愛こそがドラッグ(最強の)、ていうのと、でも愛は治療するだけじゃない、ていう、二律背反、みたいなのもある。
要は、こんがらがって大変である、と。  ちがうか。

最初はふたりが脱ぎまくってやりまくっている、て聞いたし、宣伝でLate Showとかに出てたJakeさんも、ああいうシーンを撮る時は、アメフトでパスをどう通すかを考えるみたいなかんじで狙う、とか冗談とばしていたので、ただのエロコメみたいなのかと思ったら、結構シリアスでまじめだったのでびっくりした。

ラストの告白のとこなんか、Creaとかフィガロの映画特集で取りあげられてもおかしくないくらいちゃんとした(はんぶんけなしてます)、そんなやつでした。
(原作 - 一応ノンフィクションだそう -  がしっかりしているだけかも)

監督は”Last Samurai”のひとで、いちおうそれなりに破綻なくできてはいるものの、あの映画のちゃんばらにぜんぜん血の匂いがしなかったのと同じように、この映画のエロはぜんぜんエロいかんじがしない、そこがちょっとなあ、だったかも。 いちおうR指定です。

ただ、主演のふたりがほんとにしっかりと演技しているので、そこは見てあげるべきでしょう。 ふたりの(画面上での)相性はなかなかよくて、もしこのふたりじゃなかったらどうだろう、少し若くなるけど、Joseph Gordon-LevittくんとZooey Deschanelさんあたりかなあ、てすこしだけ思った。

音楽は、96年なので、笑っちゃうくらいあれで。
出だしがSpin Doctorsの"Two Princes"で、そっからそのままThe Breedersの"Cannonball"につながる、というどまんなか(でもこれらの音は90年代前半だけど…)。ほかにもBilly Bragg & Wilcoとか、Beckさんとか、沢山聞こえてくる。

エンディングだけ、Regina Spektorの"Fidelity"だったけど。

寒くなり始めたいまの季節にちょうどよいやつだったかも。
Harry Potterもいかなきゃなのだが、とっても寒そうなんだもの。

[film] Due Date (2010)

このThanksgivingは、行きたいライブはあんまやってなくて(レヴォン・ヘルムくらいだった)、しょうがないので映画を。宿題みたいに溜まっていたやつとかを片付ける。

まずは"The Hangover"のTodd Phillipsによる新作"Due Date"。

"Hangover"は、結婚式に間にあわなくなる、しかも新郎がいない!って3人がじたばたする話だったが、今度のは、妻の出産に間にあわなくなる、しかも当人はあんまし、ぜんぜん悪くなくてかわいそー、というお話。

悪くないのに散々な目にあうエリートの建築家にRobert Downey Jr.で、悪意はないのに彼をひっかきまわしてひきまわす俳優志望のろくでなしにZach Galifianakis。 
Zachくんは最近ほんとにのっている。

"Hangover"では、なんとなくのノリで酔っぱらい、結果大変なことになってしまったわけだが、今回のも、たまたま空港でぶつかって荷物を取りちがえて、更に飛行機の座席が近かった、で、つい頭きて切れちゃった、それだけで、めちゃくちゃかわいそうな目にあう。

もちろん、Robert Downey Jr.もいかにもいそうな高慢ちきのぼんぼんやろうてかんじ(たぶん殆ど地だよねあれ)で、すぐに癇癪おこして更に事態をひどくするので、あんまかわいそうなかんじはしない。 そういうとこもぜんぶ計算済み。

"Hangover"はヴェガスの町中で大騒ぎになっていったわけだが、今回はアトランタからLAまでのRoad Trip仕様になっていて、途中途中でヤクの売人仲間(Juliette Lewisさん)とか、幼馴染み(Jamie Foxxさん)とかに会ったり、Zachのパパの遺灰をグランドキャニオンにまいたり、それなりにスケールはでっかい。(いや、そんなでもないか…)

今回は音楽がその横に移動するかんじに感動的にはまっていて、ハイウェイをがーっと俯瞰するとこで流れるNeil youngの"Old Man"にはじーん、だし、はっぱやるとこで流れるPink Floydの"Hey You"もよい。 なんで流れるのかよくわからんけど、Cowboy Junkiesの"Sweet Jane"なんかもある。

"The Hangover"とどっちがどっち、というと、どたばたコメディとしては前作のが上かもしれないが、すききらいでいうと、こっちのが好きだ。
Zachが連れているマスかきフレンチブルが終始フレーム内にいるのもいるのもなごめてよいし。

立て続けにがーっとコトが起こって、起こして、それらをさらっと悪い後味なしに流しておわり、というのをやらせたら右にでるものはないデブが、かつていた。
そう、John Candyと、その彼を使ったJohn Hughesですね。
それらを思いだしてしまうくらい、いかったです。

あと、glaucomaの治療にははっぱもありなのかー。  とか。


それが終ってから、別の部屋にずるで入って、”Burlesque”ていうのも見た。

えー、Christina Aguileraの、Aguileraによる、Aguileraの(あ、ファンの)ための、映画、ですね。

アイオワの田舎からLAに出てきた娘が、歌謡ショーをやってるラウンジみたいなとこで働きはじめて、バーテンダーが宿まで提供してくれて、最初は相手にしてもらえなかったのに、いじめにめげずにがんばって歌ったり踊ったりしたらちゃんと認められて、婚約中だったバーテンダーも略奪して、地上げにあっている店も救っちゃって、めでたしめでたし、なの。 運も歌も踊りも最強なの。

ま、たまにはこれくらい景気のよいはなしがあったっていいじゃん、と。

経営能力がないくせに威張ってきーきー言ってばかりで、結果店を破産寸前に追いこむダメおかみにCherさん、その相棒にStanley Tucci(とうぜん、ゲイ)、あとは道化役でAlan Cummingとか、いちおう周囲はちゃんとしているので、鼻たらし涎たらしながらでも安心して見ていられる。

アギレらって、出てきた頃はなんてぶさいくな娘だろう、て思ったものだったが、その印象はいまだに変わらない(田舎から出てくるすっぴんの頃もソフトフォーカスで修正かけてるのわかるし)。けど、たぶん、きっとなんかあるのかもね、くらいはうかがえる内容でしたわ。

Cherさんも何曲か歌ってくれるのだが、もう64なので(64なのかー)、"If I Could Turn Back Time" (1989) みたいのはやってくれなかったよ。 やってほしかったのに。