11月20日、月曜日の晩、Tohoシネマズ日比谷で見ました。
邦題は『スラムドッグス』。こんな邦題つけるもんだから検索かけてももう一本の英国のやつばかり引っかかる。べつに「ノラたち」でいいじゃんか。
監督はすばらしいコメディ”Barb and Star Go to Vista Del Mar” (2021)を撮ったJosh Greenbaum。
実写で撮られたわんわん達(実写比率は95%だって)がヒトの言葉を喋ったりしながら人間たちとの間でわーわー大騒ぎを巻き起こしていくやつ。子豚の”Babe” (1995)辺りからふつうになって、そんな外面はかわいく見える奴らが実は救いようもなく卑猥で破廉恥でしょうもないのだ、というのを暴いて世界を震撼させた”Ted”(2012)とか、アニメだけど”Sausage Party” (2016)とか、その路線に連なるやつで、ふつうのよい子には見せられないような言葉遣いや描写がてんこ盛り。どうせ野良なんだから、って。 USでのレイティングはR、UKでは15。
ボーダーテリアのReggie (Will Ferrell) はシェルターでだらしなくて卑しい中年ひとり男のDoug (Will Forte)に拾われて、自分ではずっと愛されていると思いこんできて幸せなのだが、Dougからすれば彼女に二股かけていることをばらしたり碌なことをしない使えねーダメ犬で、これまで何度も車で遠くに出かけてボール投げてからひとり車で帰って追い払って捨てようとしたのに、Reggieはその度に彼への愛を試されているんだと思ってがんばって家に戻ってきてしまうので、Dougはもうふざけんな、ってものすごい遠くに彼を捨てにいって置き去りにする。
そうやって遠くに来てしまったReggieが同じような事情を経て悟りきってノラをしているボストンテリアのBug (Jamie Foxx) - 口がわるい親分肌、やさしいコリーのMaggie (Isla Fisher) 、カラーをつけた不安症のグレートデンのHunter (Randall Park)の3匹と出会って、そらおまえ、嫌われて捨てられようとしてるだけだ目を醒ましな、って。でもそんなふうに止められてもDougの家に向かおうとするReggieにくっついて旅をしていくお話し。
3匹がご主人様を無邪気に信じきって無垢で世間知らずのReggieに犬の習性や本能や世渡りを身をもって示したり教えたりしていく道中のあれこれと、その反対側にあるヒトの卑しさおぞましさについても - 保健所に捕獲され閉じ込められたりしながら、ほらな、って。
いちおう教育TVぼい体裁をとってはいるものの、アニマルたちの「それ」なので - “The Secret Life of Pets 2” (2019)にあったようなお気に入りのボールを追っかけてどこまでも、辺りの一途さは似ているけど - 生々しく肉肉しくすぐに交尾や性器や(上下)排泄物の方に話題と嗜好は向いてしまって止められないし - それしかねーのか、だし - やばいキノコたべてみんなでらりらりになったり、それらすべてにF言葉に罵詈雑言がくっついてくるのでおいおい、ってなったりする。 それでもDougへの、ヒトへの怨み復讐と仲間への友情というあたりの基軸は一切ぶれずに筋が通っているので、それらすべてがスパークする最後はとっても納得できるような。 Dougにとってはたいせつなあれを食いちぎられてひどく屈辱的でかわいそうなことになったと思うが。
最初のほうで描かれるReggieとDougの関係ってヒトの典型的なDVによって縛られ動けなくなったそれそのものだし、BugとMaggieとHunterのそれぞれの態度も我々の身近にある病やトラウマや困難を鏡のようにして背負い込んだものだし、そんなにわかりやすいことあるかよ、って思ったりするものの、いまの世の犬猫への虐待ってよくもわるくもこんなにもわかりやすくあるのだということ、少しは恥ずかしいと思いたまえよヒューマン、って。
最後に流れてくる主題歌はあったりまえにSnoop Dogg、なのだった。本人を出せばよかったのに。
猫バージョンもできないかしら? 依存症度も毒性もこっちの方がより濃く、というかその濃淡がくっきりと出ておもしろくなると思うけど。 “Garfield”あたりに期待したいのだが、今度のってちょっと可愛すぎよね。
11.26.2023
[film] Strays (2023)
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