6月25日の日曜日、日帰りで京都に行って、ばたばた見ました。
京都は3か月おきくらいに行っているのだが梅雨はちょっと、でも映画の上映会と絵の展示とトークがあるなら、映画は二本立てなので一石四鳥かも、って。
午前9時くらいに着いて、京都国立近代美術館の開館60周年記念展示 『Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係』をみた。このテーマに沿ったわかりやすい展示だったと思うが、各年の美術館側の序言に必ずといっていいほど「めまぐるしく変わる社会と美術界」への言及があるのがおかしかった。もうこの界隈ときたら60年くらいえんえん激しく、変化し続けているんだ? つまりずううーっと「スタートライン」にいるってことよ、っていうあたりも含めた”Re: “なのね。
あとは細見美術館で涼しそうな扇たち(ほしい)をみて、マーケットのところで焼きそばフェアも覗いてみたのだがこんなの暑すぎてムリ、になって早めに恵文社一乗寺店のギャラリーに逃げこんだ。
こどもが映画をつくるとき (2021)
この翌週には井口奈己監督の新作の上映とトークもあったのだがそちらは売り切れていて、でもこの日の2本も見ていなかったので十分。『ニシノユキヒコの恋と冒険』(2014)以来7年ぶりとなった長編で宮崎映画祭の企画と連動して2020年12月26日から28日の3日間、宮崎で開催されたこども映画教室に参加した12人のこどもたちが2チームに分かれて初めてカメラに触って自分たちで考えて映画撮影にのぞむ姿をとらえたドキュメンタリー。116分。
チームは宮崎神宮を舞台に撮っていくおーちゃんと(青チームリーダー:大川景子)と商店街を撮っていくふかちゃん(赤チームリーダー:深田隆之)のふたつ、期間は3日間、大人のダイレクションや機材の使い方指導はあるものの、なにをどう撮るかどうしたいか、は全てこどもたちが話し合いながら決めていく。
自分がああいうワークショップ的なのにも、子供を相手になんかやるのにもそんなに興味が湧かない(もともと)のに、それに約2時間付き合えるのだろうか、って不安だったのだが、なかなかおもしろかった。こどもたちの撮影や試行錯誤の様子を計4人の大人が撮影し、そのところどころにこどもたちがそこで撮影したものが挟みこまれ、こどもが映画をつくる - ひとりで絵を描いたり写真を撮ったりするのとはまったく異なる、大人の集団が見えないところの共同作業で作ってきたなにかをとにかく懸命に学んで考えながら作っていく様子が見えてくる。
上映前の会場ではあーらなつかしのLangley Schools Music Projectの子供たちの歌が流れていたが、あのかんじ - 大人の作った大人の曲をこどもたちが、見よう見まねでやってみてできあがるなんともいえない柔らかい世界の手触りが感じられて、それははっきりとそこにあるのだった。
自分が子供になってあそこにいたら、チームからひとり離れて勝手に木や池をひとりで眺めたり地面を蹴ったりしていたあの子みたいになっていたんだろうな。
だれかが歌ってる (2019)
上の上映に続けての30分の短編。最後のところで聞こえてくる子供たちの歌声が上の作品の「こども」にも繋がっていったのだそう。
冒頭、男性がピアノに向かって弾く旋律が一緒にいる女性の首を揺らして外に流れ出ていくのと、同様に飾られていた鳥の絵が誰かの頭に引っかかってそのイメージの虜になっていくのと、それを追っかけるようにして女の子と男の子が最後にようやく出会う。だれかが「歌ってる」 - それは「聞こえてる」でもあって、その「聞こえてる」から「歌ってる」元に辿り着こうとする小さな冒険のお話し、でもあるよね、って。
金井久美子の世界 「映画(シネマ)と猫とウサギも、」
映画を上映していた隣のギャラリーでやっていた展示。「映画」については、展示作品を見ればわかるのだが、ルノワールのピクニック、ワイズマン、グレースと侯爵、ファム・ファタール、裁かるるジャンヌ、歴史は女で作られる、ラ・パロマ、などなどに関わるオブジェや小物が宝箱のように納められていて、箱の向こうに潜っていく - 箱のなかで映写機が回りだすかのように見ていけるのが楽しい。後のトークではなぜ作品が立体なのか? が少し語られて、そこでは映画について平面上に描いた和田誠についてのコメントがおもしろかった。 あと「ウサギ」は鏡花絡みだって。
金井美恵子 x 金井久美子トーク
というわけでものすごくおもしろかった。あのままだらだら2時間くらいやってくれてもよかったのに。
文芸誌の表紙に絵描きの絵が使われなくなった(ある時からデザイナーに代わって、いまはなんでもなくなっている)件とか。アートも展覧会に人は入っているけど、それがなに? にしかなっていなくてぜんたいにたそがれているよね、とか(激しく同意)。
トークの前にクジを引いて当たったらなんか貰える、という。手作りされたというクジも素敵でそれでじゅうぶんだったのだが、更に当たってくれたので日帰りしたモトとれたわ、って。ちなみに景品は泉鏡花文学賞制定五十周年記念のエッセイ集 - 結構いろんな人が書いている - でした。
トークの後のサイン会は、ほぼぜんぶサイン付きで既に持っているやつだったし、コロナのあれもあるだろうし、とそのままそうっと帰った。
しかしこの時期の京都の湿気は、やはりムリだわ。
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