9.16.2021

[film] Lucky Star (1929)

9月8日、水曜日の夕方、シネマヴェーラのサイレント映画特集で見ました。邦題は『幸運の星』。
サイレントだけど、最初の劇場リリースのときは最後の25分間だけ音や声が入ったバージョンだったという。

“Lucky Star”というとMadonnaの1983年のシングルなのだろうが、わたしはどちらかというとFriends Againっていうしょうもないバンドの”Lucky Star”の方で、Frank Borzageも好きなので見る。

1917年のアメリカ、Mary (Janet Gaynor)は牛や鶏がいる貧しい酪農家の娘で、父親はいなくて未亡人の母親と幼い兄弟たちを抱えて朝早くから乳搾りとかがんばっている。いつものようにミルクを配達にいった電線工事の作業場で、親方のWrenn (Guinn Williams)からやな扱いを受けて、彼とTim (Charles Farrell)が電柱の上で殴り合いの喧嘩をしているのを目にする。そこでWrennがMaryに投げた代金のコインを彼女がごまかそうとしたのを見たTimは彼女のお尻をひっぱたく。

やがて第一次大戦でWrennもTimも志願兵としてフランスに行って、そこでもふたりは同じ隊に配属されて、ふたりとも同時にMaryから手紙を受け取ったりしている(Timへの手紙はややそっけない)。ある日上官のWrennから押し付けられた食糧の配送中に運転する荷車が爆撃にあって、Timは半身不随の車椅子になってしまう。

地元に戻ったTimは一軒家で一人暮らしを始めて、自分でいろんなものを作ったりしていて、あまり人が寄ってこないのが寂しくて、仕事の途中で通りかかったMaryに声を掛けるものの、彼女はかつて自分のお尻をひっぱたいた彼を警戒している。でも彼が車椅子で動けないのを知って、少しづついろんなことを話していくとだんだん打ち解けてきて、Maryはいろんなものを持ってくるようになって彼は自分が作ったいろんなものを見せるようになって。

このふたりが仲良くなって、ばいばいするときにMaryが振り返るところとかすごくよくて、ある日Maryが卵を持ってきたので、これでシャンプーしてあげよう、って頭の上で卵を何個も割って泡立てるところとか(やってみたい)。で、洗って乾かしてみたら彼女は黒髪だと思っていたのがブロンドのふわふわ髪で、体もところどころ汚れているから拭いてやろうか - ところで君はいくつなの? って聞くと18だというので、慌てて目を逸らしたり(ずっとただのガキだと思っていた)。この辺、昔の少女マンガの典型みたいだけど、たまんない。

そうやってこぎれいになったMaryは村のダンスパーティーに行ってみたいな、って貯めたお金でドレスを買って、Timのところで着替えてパーティに向かうのだが、そこに現れたのが軍服で偉そうなWrennで、他の女の子とも問題起こしていたりで周囲からは評判わるい。彼がMaryに目をつけて強引に口説いてきて、MaryはTimの方が好きになっていたので逃げるのだが、翌日WrennがMaryの家に現れて彼女の母親に噓八百だの贈り物だのならべて取り入ってくる。 MaryはTimのことを母親に打ち明けるのだが、あんな片輪者と一緒になってもよいことなんかひとつもない、家族のこれからのためにもWrennの方と結婚しておくれ、って返す。

せめてTimと直接会って話してほしい、とMaryは母に懇願するのだが、約束したその当日は大雪で松葉杖でも満足に歩けないTimにはとても無理で、MaryはTimから貰ったレコードプレイヤーで音楽をかけてお祈りしながら待つのだが、雪は止まずにそのまま夜が明けて、母はしょうがないんだよ諦めな、って迎えにきたWrennの馬車に彼女を引き渡すの。

その頃Timは、雪の上で何度も転んでは起きてまた転がってを繰り返しながら少しづつ歩けるようになっていって..

シネマヴェーラの紹介文では『涙なしには見られないメロドラマ』とあったので、そのまま雪に埋もれてTimは死んじゃうんだわかわいそうすぎる、と思っていたらそうはならなかったのはよかった。

とにかく向かい合って見つめあうふたりの真横からのショットだけで幸せいちころであとはなにもいらなくなる、そんな素敵なやつなので、Lucky Starっていうのはあんたたちのこととしか言いようがないわ、って。

Frank Borzage - Janet Gaynor - Charles Farrellのトリオのは、今回の特集で3本かかるので、全部見たい。(今日2本目みた)

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