9.29.2021

[film] City Girl (1930)

9月20日、月曜日の晩、シネマヴェーラのサイレント特集で見ました。

原作はElliott Lesterによる演劇 - "The Mud Turtle"で、監督はF. W. Murnau。Terrence Malickの”Days of Heaven” (1978)のインスピレーション元になったのだという。 邦題は『都会の女』。Webでみると『都市女郎』(中国語タイトル?)っていうのも出てくる..

田舎で小麦農家をやっている家の長男Lem (Charles Farrell)が農場主の父親 (David Torrence)に命じられてシカゴに赴く。大都会への初めてのお使いらしく列車に乗っている時点から切符どこいった? とか隣の席の女性きれいー、とかそわそわ落ち着かない。

街のカウンター食堂でウェイトレスをやっているKate (Mary Duncan)は毎日立ちっぱなしでかったるいし、やらしくてうざい男性客ばかりだし、遅くにアパートに戻っても窓の外は高架電車が走っているし玩具のカナリアくらいしか相手いないのでどんよりの日々で、そんななか、客としてやってくるわかりやすくて朴訥なLemに惹かれて仲良くなっていく。Boy meets Girlのrom-comっぽい。

Lemが都会で浮かれてぼーっとしている間に小麦の価格が落ちてきて、厳格な父親に言いつけられた「ぜったいに単価1.15ドル以下では売るなよ」をこれ以上待っても守れそうになくなってきたので引きあげることにする。でも、小麦ではだめだったけど、Kateを連れて帰ったら喜んでもらえるのでは、と軽く考えたLemは結婚して一緒に帰らないか、ってプロポーズする。Kateは少し悩んで考えて、Lem は駅の改札ではらはらしながら待って、すれ違いそうになりつつもとにかくふたりは列車に乗って、馬車に乗り継いで、それを降りて農場に入る波うつ麦畑を走り抜けて(すばらしい絵。ここだけずっと見ていたい)実家にたどり着く。

母と妹はふたりの帰宅を歓迎してくれたのに、小麦の売値を聞いた父親は激怒して、Kateについてもどうせ金目当てですぐに飽きて都会に戻るだろう、ってひどいハラスメント(ほんとひどい)をするの。 で、それをあんまりだと思ったLemが歯向かおうとしたら母 (Edith Yorke)がお父さんにたてついたらだめよ、って立ちはだかり、それでLemは萎んじゃって、Kateはがっかり失望する。見ているこっちもLemだめじゃん、てふつうに思う。

やがて収穫シーズンが訪れて、収穫(ところで収穫の車をひくのは大勢のロバ?)を手伝う農夫たちが大勢住みこみでやってきて、Mac(Richard Alexander)が給仕をするKateに目をつけてダイナーにいた頃の男達と同じ目で彼女に寄ってきて、Kateがこいついい加減にしろよ、ってイラついてLemの方を見つめても彼は自信を失っててだめで、その様子を見た父はやはり都会から来た娘は淫らでがっかりじゃ、って決めつける地獄が展開される。

もうじき嵐が来そうで小麦の値も高騰しそうだから夜通し収穫したいって父が農夫たちに申し出た時も勢いにのるMacは男としての自分を見せたる、って父親に向かってもっと給料あげてくれないならストライキだここから引き揚げる、そしてKateには一緒に駆け落ちしようぜ、と誘って..

Rom-comとして見ると、父親がダメって一喝してふたりを認めなかったくらいで萎えて潰れそうになるLemは弱すぎてダメだし、下心まるだしのMacの接近もあれじゃ猿とおなじだろ、とか思うし、後半の展開は割とぐだぐだ平板でしょうもない。

こんなならキレたKateが都会に帰っちゃって再び舞台はシカゴに.. とか、限界を超えて糸の切れたLemがついに銃を手にして… とか、赦してほしいと手を差しだす父親に都会の女をなめんなよ、って啖呵をきる.. とか、日々疲れてしまったKateが”Groundhog Day”のループに嵌る.. とか、の方がおもしろくなったはず。 でも、あの麦畑の景色があったので、なんとかぎりぎりでよかったねえ、になった気がした。


ようやく”No Time to Die”が公開されるのはうれしいけど、このままNo Time to Dieの世の中になってしまうのはほんとうに嫌。
 

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