5日、火曜日の晩、BFIのBarbara Stanwyck特集で見ました。
最近はこの特集ばかりで新作をほとんど見れていない。 けどちっともかまわないの。
監督はMitchell Leisenで、脚本をPreston Sturgesが書いている。Leisenが自分の脚本をざーっと削ったりしているのを見たSturgesは自分で監督するのを諦めちゃったのだという。
クリスマスに向かうNYの街中の宝石店で、Lee (Barbara Stanwyck)が万引きをして捕まって、彼女は常習だったので有罪は見えているのに、担当検事となったJack (Fred MacMurray)は陪審員のみんなはクリスマス前で判決下す気分でも雰囲気でもないでしょ? と審議を年明けに延期する細工をしたらLeeが怒って、クリスマスと年越しを牢獄で過ごせっていうわけ? て騒ぐのでかわいそうになって保釈してあげたらこんどは行く場所がないどうしてくれる? てわーわー言う。そのうち彼女の郷里はIndianaであることがわかったので、自分が里帰りする車に乗っけていくことにするの。
前半はふたりの道中の凸凹あれこれで、ペンシルベニアで迷って農場で車止めていたら逮捕されてやや面倒な連中相手に面倒な裁判にかけられそうになったとこでLeeが放火して(すごいことする)一緒に逃げたり、Leeの母親に会いに生家にいったら再婚していた彼女にもう会いたくないので来ないで、と冷たく言われたり、笑ったり泣いたりいろいろあってだんだんに距離が縮まってきて、JackはLeeを自分の実家に連れていくことにする。
Jackの実家には彼の母(Beulah Bondi)とEmmaおばさんといとこのWillieがいて、みんなLeeのことを暖かく迎えてくれて、それはJackが彼女の素性と事情を明かした後でも変わらなくて – ここさあ、ほんとにいいシーンでしみじみいいひとたちなの。ああいう人になりたいもの - 大晦日もコルセットぎゅうぎゅうされてママのドレスを着せられて、みんなで歌って踊って楽しんで、JackはLeeにキスをする。 この頃にはもうふたりは互いに愛しあっているのだが、Jackがどれだけ家族から愛されて誇りに思われているかも、この時が終わったら戻らなければならないことも、戻ったら裁判があって牢獄行きで離ればなれになることもじゅうぶんにわかっていて、だから帰りの道行きはちょっとしんみり穏やかで、ペンシルベニアを迂回してカナダ経由にしてナイアガラまで来たところでJackはLeeにプロポーズして、保釈後失踪したことにしよう、ていうのだがLeeはそれはできない、って。
とにかくねえ、前半は威勢よくてガラっぱちだったのに後半はLeeの瞳がずっと濡れたようにきらきらしていて、それだけでこっちもうるうるしてきて、喉の奥がずっとひくひく引き攣っていた。 みんななんていいひとたちなんだろう、なのに自分はなんであんなことしちゃったんだろう、この時間ももうじき終わってしまうんだなあ、終わらないで(祈)、って。だから”Remember the Night”で、この年のクリスマスと年越しのことはぜったい忘れられないねえ、って。 不思議なのは彼女の瞳を見るとほんとに彼女の気持ちが乗り移ってしまって、なんであの時万引きしちゃったんだろう、この先更生できるかしら、とか次々浮かんできて自分のあたまぶん殴って止まらなくなるの。
で、このふたりが同じような立ち位置で再会して火花を散らすのが、誰もが知っている“Double Indemnity” (1944)で、こっちはノワールでふたりしてまっ暗闇の破滅に向かうことになる。これの前にこういう話もあったことがわかって、よかったかも。
終わって(いつもは必ず起こる)拍手がこないので、あれ? って後ろを振り返ってみると、みんなうつむいて涙をぬぐったりしているのだった。いいなー。
3.11.2019
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