10日、BFIの日曜日の定例のサイレント上映会で、見ました。 いつもながらほぼ一杯。
そしていつものようにBryony Dixonさんによるイントロつき。
San Franciscoのチャイナタウンを舞台にしたアンダーグラウンド、犯罪モノの先駆けで、この2年後にDashiell HammettがContinental Opのシリーズで描いていくことになる要素のいくつかを見ることができるので、HammettはSan Franciscoの映画館でこれを見ていたのではないかしら、とか。
初期にこんなアクション活劇を撮っていた監督Tod Browningはこの10年後 - 1930年にEdward G. Robinsonを主演に同タイトルでこれをリメイクすることになる。気にいったテーマだったのかも。
冒頭に孔子曰く、法から外れたことをせず従っていればすべて丸く収まるのよ、みたいな、よくよく考えてみればあたりまえじゃね? な教えが説かれて、それを言っているのがチャイナタウンを仕切っているぽい老師Chang Loで、聞いているのが地場のギャングのMadden とその娘のSilky Moll - Molly(Priscilla Dean)で、そうかやっぱ堅気にならなきゃねと思っているとMaddenは続けて起こった銃撃事件の容疑者としてはめられて留置所に送られ、Mollyはギャング友達のDapper Bill Ballard (Wheeler Oakman)とNob Hill (Knob Hillってなっている)のアパートに身を潜めつつ宝石泥棒の計画を練っていくことになって、最後は父をはめた大ボスのBlack Mike Sylva (Lon Chaney)とぶつかることになる。
おもしろいのは潜伏生活中のMollyと隣の部屋に住む洟垂れ小僧とのやりとり- 初めは馴れ馴れしく寄ってくるんじゃねえよ、ってつんけん無視していたのだが、ガキにわーわー泣かれて首に手を回されたらみるみる表情が溶けていくとこ - と最後のチャイナタウンに戻ってのどんぱちで、ここって冒頭からそうなのだが、いまであれば警察とか探偵とかヒーローのような正義を諮ったりその線を引いたりする立場・役割のキャラが普通にいておかしくないのに、そういうのが一切出てこない - 警察はいるけどわらわら混乱を増幅させるだけ - なのでラストのどっちが悪でどっちが、がまったく見えない状態 - Outside the Law - で撃ち合いをしている&それが迷宮のようなチャイナタウンの深部で連鎖して暴発していくわけわかんない混沌模様はすごいと思った。
ただ全体としてはPriscilla Dean の女優としてのすばらしさ - 善人とか悪人とか娘とか恋人とかの狭間でうむむこんにゃろーって悩むとこがぜんぶ表情にでる - が最後まで残って、ああ彼女の出演作もっと見たい、になった。 彼女と相方のWheeler Oakmanて夫婦だったのね、後で知ったけど。
これと、Lon Chaneyのどこから見ても極悪にしか見えない悪役- Black Mike Sylvaのどす黒っぽさで、彼はもう一役Chang Loのとこにいる謎のアジア人(典型的なアジア人ツリ目メイク)てのも二役でやっていて、その怪傑ぶりもすげえなー、で、要は怪人と美女が蠢く魔宮のようなチャイナタウンの闇 – ふつうのひとは絶対立ち入ったらだめ、なさまが見事に活写されていて、つまりはOutside the Lawなのね、だった。
で、このチャイナタウンの底が抜けた恐ろしさを現代に蘇らせたのがJohn Carpenter師による”Big Trouble in Little China” (1986)で、そういえばあれも正義のなんか、とは程遠い、でもかっこいいなんかだったねえ。
3.20.2019
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