10日、日曜日の夕方、BFIのBarbara Stanwyck特集で見ました。 わいわい大入り。
邦題は『教授と美女』。 監督はHoward Hawksで、脚本はCharles Brackett & Billy Wilderで、撮影はGregg Toland で、音楽はAlfred Newmanで、衣装はEdith Headで、どこを切っても問答無用の最強で、これが80年代にVHSで出た時、1万円以上したのにどうしても見たくて欲しくて飛び降りるようにして買って、何度も見たので、自分にとってのコメディ(スクリューボールでもロマンティックでも)の原点みたいなやつだし、いまだにValentines Dayになるとどこかで上映されたりしている。 それにしてもおそっろしいのは、Barbara Stanwyckさまはこの年、Preston Sturgesと”The Lady Eve”を撮って、更にここで共演したHenry Fondaともう1本、”You Belong to Me” – これは未見 – を撮って、”Ball of Fire”のGary Cooperとはどシリアスな”Meet John Doe”も撮っているって、なんなの? ただの最強ってこと?
マンハッタンの邸宅で教授たちが百科事典編纂のために慎ましく共同生活をしていて、彼らは全員研究仕事に身を捧げているのでずっと独身(妻が亡くなってしまったひとはいる)で、一番若いのがPotts (Gary Cooper)で、彼はアメリカのスラングの研究をしているのだが、ある日ゴミ収集のおじさんの喋っている言葉がぜんぜんわからなかったのに衝撃を受けて(ありがち)、もっとフィールドに出ねば、って町に出てスラングの収集を始める。(どうでもいいことだけど、そのなかに”Slap Happy”って言葉がでてくる)
で、その収集活動でナイトクラブに行ったときにそこで元気いっぱい歌っていたKatherine (Barbara Stanwyck)にぼーっとなりつつも彼女の操る威勢のいい言葉(やはりちんぷんかんぷん)にやられて、自分は言葉の研究をしているのでもしよかったらここに来ていろいろ教えてもらえないだろうか、と自分のカードを渡して帰る。KatherineはギャングのJoe (Dana Andrews)の情婦で、彼が暫く身を潜めなければならなくなったので、彼女もガサ入れで見つからないように隠れろ、って指示をだして、そうだあの教授のとこに行けあそこならぜったい警察も踏みこむことないから、って。
で、深夜、ナイトクラブのびろびろの恰好で教授たちの前にKatherineは現れて、教授たちは瞬殺のめろめろで、Pottsは研究対象だからいてもいいけどその恰好はやめて、といい、家政婦のMiss Braggはありえない辞めさせてもらうわ、ていうのだが、とにかくKatherineは居座って、Pottsとも仲良くなって、うぶな彼はKatherineとの結婚を考えるようになるのだが、Katherineからすればそんなのありえない話なのにPottsは夢中で指輪まで用意して、でもやがて彼女はJoeと結婚することになっているから、とウェディングに去ってしまう。 しょんぼりのPottsだったが、彼女が去り際にしたあることからひょっとしたらこれって.. と教授たちみんなでNJの式場に車で突撃していくの。
“The Lady Eve”もこれも、手練れの詐欺師だったり情婦だったりする彼女が、愚直に真面目にやってきたいいとこのガリ勉くんをぽーっとさせてつき落とす痛快なコメディで、Preston Sturgesのが相手をどこまでもサディスティックに痛めつけてひっくり返すのに対して、Haward Hawksのはどちらかというと一族郎党引き連れて転がっていく痛快活劇で、その爽快感ときたらない。
”Meet John Doe”との比較をすると、Gary Cooperはどっちのでも無骨で正直でいっぽん筋が通ったシンプルな「男」で、彼女は常にその上位にいて見守っていたり女王になったりで、あれじゃ結婚しても尻に敷かれるのは見えているのだが、そういう関係像が求められていたのかもしれないし、なんにしてもBarbara Stanwyckさまがこの生態系宇宙の頂点にいることは、だーれにも否定できまい。
Pottsが間違って入ったコテージに彼女がいて、暗闇でその目だけがぼうっと光っているとこ、何度見てもすごいったら。
とにかくコメディの一丁目一番地なので、見たことないひとは見てね。
終わったら大拍手なのはとうぜん。
3.20.2019
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