15日の午後、打合せの合間に1時間くらい空いたので、天気がよいのでちょっと散歩してくる、と抜け出して地下鉄の駅に走っていって来たのに飛び乗ってBritish Libraryに行った。 うそつき。
76年のSex Pistolsの登場から40年、ということで各地で行われている記念イベントのひとつ。 図書館の中なので無料。
サッチャー政権の頃とおなじような事態・状況に戻ってしまったかに見える今の英国でこのようなかたちでこのようなところ - 国会図書館みたいなもんよねここ - でPunkが「革命」として祀りあげられ、結果「去勢」されてしまうことに対する危惧や懸念や不快感は、英国から遠くはなれたとこにいる東洋人にだって、もちろんある。
他方で、Punkは、例えばPistolsがPILになった時点でとっくに、じゅうぶんに死んでいたのであって、その屍骸を掘り起こして公共の場でその腐臭をまき散らすことについて、それが果たしてノスタルジックななんかになりうるのか、ていうところも含めて確認してみる意味はあるのかもしれない、とか。
どっちにしても、音楽聴かなくてもバンドTシャツは着るとかいう(わけわかんない)デジタル時代の子供たちに70年代のPunkがあの当時の我々に起こったのと同じようなかたちで、作用したり効いたりすることになるとは思えないのだから、まあやっといたらいいんじゃない、くらいの。
図書館の入り口を抜けたでっかいホールの奥に"Punk 1976-78"ていう垂れ幕が下がっていて、その下のそんなに広くないスペースに当時のいろんな物件 - チラシとかZineとか記事とか手紙とか、沢山の7inchとか - が並んでいて、それらについては、屍体解剖して新事実が出てきたとか、これまでこう言われてきたけど実態はこんなだった、とかそういうことには勿論ならなくて、あーほんものだねえ、という感慨、みたいのしか出てこない。 過去を懐かしむ、慈しむ、というのはPunksの規範にはなかったはずだ。 うまいぐあいにボケが記憶を壊しはじめてくれている。
これだと結局当時のバンドとか聴き手 - 所謂Punksを革命の当事者とか英雄扱いして回顧するだけで終わってしまう - 革命はそこで閉じて終わって、よかったよかったになりがちで、それってPunkがやろうとしてたことから10000マイル離れて、歴史とか市場とかにきちんと組み込まれちゃったということだよね、と複雑になっていたら、全く別の地点から、そういう展示のありかたに対してざっけんじゃねーよ、て怒りを表明していたのがViv Albertineさんで、三大小咄みたいに扱われるSex Pistols, the Clash, Buzzcocksに対してThe Slits, X-Ray Spex, Siouxsie & the Bansheesだっていただろうがくそ男根やろう! て怒ってて - 展示概要のテキストの一部に取消線入れてコメント殴り書きがあって、そこだけ生々しくてよかったかも。
http://pitchfork.com/news/66847-the-slits-viv-albertine-defaces-male-dominated-punk-exhibition/
これもまた、直情的で単線思考で前歯が欠けてて挙動不審 - そんなPunksの一般的なイメージが創りだしたなにか、であるとしたら、連中にフェミニズムみたいのを説くのは相当難しそうな気もするのだが、いやだからこそあえて、と拳を握りしめるか、焼石に水、って石ころを蹴っとばすか、どっちもありなのな。
あとね、やっぱしPunkってアートとしてどうこう、以前に音としてまず画期的に気持ちよくてすがすがしく、頭に風穴あいて胸のすく思いがした、あの快感を伝えるのは難しいんだろうけど、そこがなー。
40周年、ていうのは当時のPunksが孫を持つくらいのとこまできたので、孫に自慢するためのあれなのかしら?
こういう展示につきもののファッション系のあれこれはほとんどなくて、そこはよかった。
同じフロアの少し離れたところにPop up Shopがあって、ポスターとかレコードとか本とか売ってた。
パンクの恰好したお姉さんたち(図書館の人... じゃないよね?)が針飛びするRamonesのレコードを洗濯板を扱うかのようにごしごし拭いていた。 レコードは中古も新しいのもあったが、12inchの袋を抱えて職場に戻るのは許されない気がしたので7inchを見てみると、なぜか殆ど持っているやつだった。 でもせっかくなので、Slitsの"Typical Girl"のオリジナルをお土産として買った。 他にDamnedのメンバー全員のサイン入りのとかもあったけど、少し考えてやめた(£75)。
同じ館内でやっていた有料の展示 - "Shakespeare in Ten Acts Exhibition"もすごく見たかったのだが、時間がなくてあきらめる。
BFIでやっているPunk映画特集は、結構見たことがあるやつらだったので、まあいいかー、と。
8.20.2016
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