9日の日曜日「復讐の夜」のあと、六本木に行ってみました。
実在したトレーダーJordan Belfort (Leonardo DiCaprio)の隆盛と栄華と没落を描いた実録もの。
最初は堅気の証券会社に入って上司のMatthew McConaugheyに金儲けの快楽と陶酔を叩き込まれたJordanがブラックマンデーで失業して、ロンクアイランドの田舎でクズ株のいんちき電話セールスから会社を興してぶいぶいに成りあがっていく。
金を儲けること、そのための組織を作って社員を支配すること、とにかく金を儲けること、その金を使って浪費すること、豪邸、ヨット、ドラッグ、女、とにかくなにがなんでも金を儲けること。
拝金主義とか、そういうのとも違って、ただただ金を儲ける、人の上を行く、その行為のためだけに走り続けるJordanの爆発するテンションといっちゃった表情がずっと前面に出ていて止まらない。
それが3時間も続いていくのはどうか、と思わないでもないが、その強引な身振り手振り表情に映画そのものが絡みとられてしまっているようで、いちいちバカみたいにおかしい、ていうかオチがないまま次につながり、だんだん麻痺してなにがおかしいんだかわからなくなってくるのだが、それでもそれすらもおかしくて、それのなにがいけないというのか(よくわかんないけど)。と開きなおって反省しないとこまでJordanとおなじく。
金儲け(主義とか行為とか)に対する批判や警鐘は一切なくて、それはすべて需要と供給の関係のなかにあり、休まず徹底的にやって人の上に立つてっぺんを狙う、というのが行動のルールと原則で、それは例えばこんなこと、こんなふうにすればやくざだってギャングだって政治家だってアスリートだって。
あれだけやってもヒトはなかなか死なずに立ちあがってくる、ので、Jackassのシリーズみたいにげらげら笑って見ることができる。
創業時からの相棒Jonah Hillとのコンビが さいこーで、特に盗聴を避けてゴルフ場のクラブハウスまで電話かけに行ったJordanが突然やってきたドラッグの酔いにやられて体の自由が利かない状態のまま這って車に乗り込んで自宅に戻り、そこで同様にらりらりになっていたJonah Hillとくんずほぐれつになるところ、そのどたばたをひとつの流れに落としこんだのはMartin Scorseseの判断らしい* が、まあすばらしい。 いつもの編集番のThelma Schoonmakerさんも冴えまくってるし。大変だったろうなあ。
* http://www.vulture.com/2014/02/wolf-of-wall-street-martin-scorsese-favorite-shot.html?mid=facebook_vulture
監督としてのMartin Scorseseて、今回みたいに無軌道で反省しない連中を好きなように転がしてそこに音楽被せてじゃーん、とかやる、結末はどうでもいい - どうせバカは死んでも治んないんだから - みたいのが一番うまくできる気がした。 過去とか遺産とか善悪とか彼岸とか、そういう大樹とか大河みたいのはあんまし、かも。
そして同様にDiCaprioも、"The Aviator" - "The Departed" - "Shutter Island"の囚われ系の苦悩から解き放たれて実に楽しそうにイキんでフンフンいってて、これでオスカー獲るなら異議なしかも。 もうちょっと泳がせてもおもしろいかもだが。
音楽はRobbie Robertson。 昔の渋渋BluesやR&Bのあげあげノリと90年代のらりらり系懐メロが絶妙に混じって飛び道具してて楽しい。 主題歌なんてMatthew McConaugheyのゴリラだし。
Fran Lebowitzさんが出ていた。貫禄だった。
あとはSteve Maddenの懐かしいCMと、あれが突然消えた理由もそうだったのかー、とか。
それと、90年代後半から00年代前半に勤めていたオフィスのあった建物が入り口からもろに出ていて懐かしかったよう。
2.16.2014
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