日仏のジャン・グレミヨン特集、ものすごく行きたかったのに気付いたら半分過ぎててすごいショック・・・
25日、髪切ったあと、午後3時から2本続けて見ました。 髪切ったあとで日仏にいくとチケット売り切れのことが多いので、髪切る前にチケット買っていった。
「高原の情熱」(1943)
高原のホテル「守護天使」の女主人クリクリがいて、彼女が想っている近所のお金持ちパトリスがいて、そこにどこかからきれいなミシェルがやってきて滞在し、彼女を追ってよっぱらいのローランがやってきて、パトリスはミシェルが好きで、ミシェルは地元の工事現場できびきび働く青年技師ジュリアンとよいかんじになって、それぞれのいろんな過去とかそれぞれの勝手な想いとかが五角関係をつくって、お城とか高原とか工事現場とか舞台もなかなかドラマチックで、そういうのがお城の仮装舞踏会で爆発して、DV野郎のパトリスの銃弾が炸裂し、酔っ払いのローランの車(なんであんなやつに運転させる?)が暴走してみんな死にそうになって、救出にむかう医師を乗せたトロッコは宙吊りになって、結果、どうでもいいやつらはみんなしんじゃうの。 そしてその死はドラマの必然でもなんでもなくて、ただ死んじゃうだけで、高原だからすっきりするの。
いやーほんとになんておもしろいんだろ。 みんな金持ちで暇だもんだから情熱が渦を巻いてくだを巻いて、どろどろになっていく一方、真面目に地面に穴掘って働くジュリアンがひとりで輝いていて、勝ち組と負け組がわりとくっきり見えて、でもあんなふうに転がっていくなんてだれにもわからないの。
過去をひきずって悶々と生きる女主人クリクリと、前向きな現代娘のミシェル、どちらの女性の造形も、それぞれにかっこよくてさあー。
「この空は君のもの」の彼女もそうだったが、女性がたくましいよねえ。 男はしみじみバカだねえ。
「曳き船」 " Remorques" (1941) 英語題は"Stormy Waters"
見たことないやつ、と思っていたが、見たことあった。冒頭の「子猫の爪亭」であーこれこれ、になった。
「高原の情熱」もそうだったが、夜闇を切り裂いて走ってくるバイクが不吉ななにかを運んでくるの。
で、「高原の情熱」もそうだったが、ひとの幸せなんて、所詮ぴんと張られた綱のひっぱりあい、わかんないものなのよねー、だった。
曳き船サイクロン号の船長アンドレ(ジャン・ギャバン)はみんなに慕われるよい船長で、大嵐の日の救助で被救助船の悪船長の妻カトリーヌと知り合って恋に落ちて、でも彼の妻イヴァンヌは心臓の病を抱えていて篭りがちで、でも健気に彼を愛してて、でも悪天候と救助信号と波に揉まれる船とカトリーヌがアンドレをひっぱりまくるのでアンドレどうする、なの。 仕事で船を引っ張れば、別のところから引っ張られて、彼の頭のなかにも大嵐が吹き荒れるけど、引っ張るのがおれの仕事、なんだって。
カトリーヌの部屋でのカトリーヌとアンドレとのやりとりがものすごく繊細で、でもやってくる大波がすごくて、ああ大人ってこんなふうなのね、とか。
「高原の情熱」でクリクリだったマドレーヌ・ルノーがイヴァンヌ役で、幸せを求めてやまない不幸せな人のかんじが似合うんだねえ、とおもった。
2.01.2014
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