11.25.2013

[log] Penguins - Nov.23 2013

先にも書いたが今回の出張は完全Awayでストレスまみれのずたぼろで、どうしてくれよう、なのだが、同行者のなかにずっとペンギン~ ペンギン~ てうわごとのように呟いているひとがいて、なんなのか聞いてみるとPhillip Islandていうとこにいくと野生のペンギンの行列が見れるのだという。
でも島とか船で行くような場所だと万が一のことが起こったときに怒られるので、うーんと困っていたら車で2時間くらいで行けるのだと。
結構有名なツアーらしいのだが知らなくて、やってらんなくなった合間にサイトとか見ていたら脳の底で暫く眠っていたワイルドライフ熱が渦を巻き妄想を呼び、やがてそれが暴走を始めて週末はぜったいこいつらに会いにいくんだ、待ってろペンギン! になってしまった。

http://www.penguins.org.au/

行くにはメルボルン発の観光ツアーに申し込むしかなくて、でもそういうのは苦手なので若いひとにやってもらい、でも観覧席はGeneralじゃなくてPenguin Plusじゃないとやだ、とか注文つけてすまないことをした。
だって、Penguin Plusの席のがよく見えるっていうんだもの。

自分のこれまでの記憶にある一番のペンギンモーメントは、95年頃、ガラパゴスのBartholomew Islandの海でシュノーケリングしていたら横にぴゅん、て寄ってきて一緒に泳いでくれたやつ(ほんとよ)と、同じ島の尖り岩の横でたったひとり、天を仰いで「あー」って相手を切なく呼んでいたやつで、それらを思いだしたらここのLittle Penguinsを見ないで帰るなんてありえない、とおもった。 

というわけで23日の土曜日、丸一日潰して行く。
朝起きたら窓に雨の水玉が見えて死にたくなったが、9時頃にはあがっていた。たまに小雨がきたりする程度。

1時くらいにバスに乗ってちょこちょこ寄り道しつつ、ペンギンが待っているとこ(べつにあんたなんか待ってねえよ)に向かう。
パレードが始まるのは日没から、昼間海の沖合に遠出してご飯を食べていた彼らは日没に合わせて陸にあがって、海岸沿いの草地とか灌木地にある巣に戻ってくるの。今の時期は繁殖期で、戻ってくる群れのなかには既に子供(ルーキー)も含まれているそうな。
なんで日没まで待っているのかというと陸にいる天敵 - 狐とか鷹とか - を闇に紛れて避けるためなの。
ちなみに22日の日没は20:41、この日は1134匹が海から上がってきたのだと。
彼らはこういうのをずうううっと、毎日土日もなしに何百年も(たぶん)続けているんだよ。 えらいねえ。

途中寄り道した牧場みたいなとこにはタスマニアデビルとカンガルーとコアラと羊とロバと馬とエミューとクジャクとトカゲがいた。 カンガルーの餌($2)を買って、食べさせてあげようとしたのだが、カンガルーくんは飽食していたのかそっぽ向いてて、ロバのところに置いてみたら容器ごと持っていかれてしまった。 ロバなんかだいっきらいだ。

あと、ウォンバットさんもいたのだが、穴のなかでふてくされて丸まっていた。あんなふうに丸まられてしまうと猫でも犬でも豚でもウォンバットもでおなじただの毛玉だよね。

それからNobbiesていう岬にも少し止まった。カモメも繁殖期とかで丘の斜面にヒナがうじゃうじゃいてうるさかった。そこに行くまでの野っぱらがワラビーの保護区になっていて、草の間に何匹か頭をだしていた。

19:30くらいにペンギンセンターに着いて、チケット貰っておみあげ屋をのぞいたりしたあと、遊歩道を抜けて観覧席のあるとこに向かい、闇に暮れようとしている海に相対して座る。 あたりまえのように寒いったら。これ、風が強かったらしぬかも。

20:30頃、波打ち際のところにもそもそ動くいくつかの黒い点が確認できて、それらが揺れたり固まったり離れたりしながらペンギンぽいシルエットの塊を作り、それが次第に大きくなる - つまりこちらにだんだんと近寄ってくるのがわかる。 たくさんのペンギンがこちらに向かって歩いてくる - いや、こちらではなく、それぞれ自分ちに帰ろうとしているだけなのだが - それだけでなんでこんなにぞくぞくわくわくしてしまうのか。 宇宙人とか変な怪物とか、むこうからこちらへ、意思が通じるとは思えないなにかがやってくるのとおなじようなイメージなのね。

観覧席の前にはちいさい丘みたいのがあり、丘を下りたところに海のほうに流れていく浅い水路があって、その水路を渡ったあとは各自家路に向かうだけ。道はいくつかあって、緩やかな上り坂になっているパス(ペンギン達が何十年もかけて踏み固めていったものだという)を通っていくのもいれば、整備された通路を抜けてセンターの周囲の森に行くものいる。歩く距離はだいたい1kmだって。 30cmの背丈の彼らにとっての1kmって。

で、20:38頃、近寄ってきた彼らの影がしばらく消えた、と思ったら丘の上にひしめく一団となって現れてそこで暫く待機か、とおもったら最初の5~6羽がよたよたと丘を下りはじめる(客席全員溜息 ~ サイレントの悲鳴)。 つんのめって転がり落ちるようなやつ(ごめんね期待して)はいなくて、下まで着いたらこんどは水路を渡る - ぴちゃぴちゃぱたぱたぺたぺた ていう水音も愛おしく、その渡りを終えると、ふたたび止まってえーとどっちだったっけ、とか固まって考えてて、じゃあねーまたあしたー、というかんじでそれぞれが自分たちの巣に帰っていく。2羽一緒のが多いが、1匹単独のもいる。 最初のグループにいたうちの3羽は、斜面沿いのペンギンパスをふたたびよろよろ登り始め、ものすごくゆっくり、でも3羽一緒にがんばってて、そんな後ろ姿もたまんないのだった。

最初のが下りたあとは次から次へ、でも決して怒濤のレミングとかヌーになることはないペンギンパレードで、だもんだからいくら見ていてもまったく飽きないの。 たまに逆方向に戻っていくやつとか、丘から離れた草むらでぼーっとしているやつとか、丘の中腹の盛り土の上でぐるぐる回転しているやつとか、いろんなのがいるの。 

完全に日が落ちて暗くなると(観覧席のところは薄暗い照明あり)、丘に上がったあとにパートナーを呼び合う声がやかましくなる。ぽぽぽぽぽみゃーみゃーにゃーにゃー、とかそんなふうで、その声が重なりあい、暗い灌木の茂みのなかからサラウンドでわんわん響いてきてすごい。グレムリンのギズモの、あんなふうな声よ。 こいつらがグレムリンだったらおもしろいのになー。 海に浸かって増殖したやつらが人を襲いはじめるの。

途中から雨が来たこともあって21:10くらいから客は退けはじめ、われわれも21:20くらいには遊歩道を抜けて戻る。 戻る途中もペンギンさんたちと一緒に帰るかんじで楽しいの。

センターに戻ったとき、体は冷えきっているのでみんな暖かい飲み物(おまけ)を貰うのだが、かんぜんに頭がオーバーヒートしていたのでアイスキャンデーを食べた。 気味悪がられたが、気持ちよかった。

で、9:45にバスに乗り込んで、ホテルに着いたのは23:40くらいだったか。
眠かったが仕事のメールとかが入ってきたのでむかむかと対抗しつつ、車中で流していたBBCのドキュメンタリーシリーズ - "Penguin Island"ていうのを見て復習していた。 ペンギン博士にでもなってやろうか。

ちなみに写真撮影は厳禁なの。 映画とおなじく目に焼きつけて帰るしかないの。

また見たい。こんどは1月か2月に。仕事ぬきで。
それか、パタゴニアか南アフリカで。

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