11.24.2013

[film] Sister (2012)

今回の出張は、ほんとまじで動けなくて死にそうで、二度とこんなとこ来るもんか状態なのだが、それでも木曜の晩に抜けだして見ました。
ホテルが入っているコンプレックスの1階にあるシネコン。 9月に来たときはここで"Frances Ha"を見た。 上映されたのはそのときと同じ部屋(ちっちゃい)だった。

原題は"L'enfant d'en haut" (そのままか)のフランス/スイス映画。
Léa Seydouxが主演、音楽はJohn Parish & PJ Harveyときたら見ないわけにはいかないの。

スキーリゾート地の麓に暮らすSimon (Kacey Mottet Klein)は、小学校高学年かせいぜい中1か中2くらいのガキで、スキー場の更衣室とかに忍びこんでリュックとかゴーグルとか手袋とかスキーとかを盗みだし、それを周りの子供とか大人とかに売り捌いてお金を稼いでいる。

彼の姉と思われるLouise (Léa Seydoux)はSimonの目の前で男と喧嘩して別れて、そのまま木の陰で座りションするというあっぱれな登場の仕方からもわかるように、典型的なダメ女で、仕事も男もぜんぜん続かなくて、生活費はSimonの腕に頼りっぱなしなの。 SimonはそんなLouiseに呆れたり悪態ついたり、しょうがねえなあ、とか言いつつも養ってあげてて、彼の商売だって紙一重で危ない目にあっているのにLouiseにはなにも言わない。

物語はクリスマスの直前からスキーシーズンが終わり、つまりSimonの稼ぎブチがなくなる春前までのふたりの喧嘩したりくっついたり大喧嘩したり、でも結局離れられなかったり、そういう日々を追う。 突然事態が好転したり王子様とか一攫千金とか、そういうのはなくて、寒そうな冬の光景とひりひりした生活、暖かくない家庭、憎んでは憎まれのずるずるした関係が続いていくばかりで見ていて胃が痛くなるのだが、でも野良猫Louiseと野良犬Simonの面構え - 不機嫌に怒ったり泣いたりいがみあったり - がどこまでもすばらしく、つまり一匹と一匹のお話の力強さ、突き放した冷たさ硬さ、は徹底していて目を離すことができない。

ラストのケーブルカーのとこなんて、なんと言ったらよいのか。

あと、このタイトルはね。

音楽はそんなに鳴らないのだが、John Parish & PJ Harveyの"Girl"の、あのちりちりしたギターとポーリーの擦れ声が遠くに聞こえるのと、John Parishのインスト - ケーブルカーのワイアーの軋みにピアノが被さってくるとことか、この2人の音、あの音の肌理以上にふさわしいものがあるとは思えない。

Simonを演じた彼もすばらしいのだが、Léa Seydouxの凄さを改めて。
いま一番見たい映画は"Blue Is the Warmest Color"なの。

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