11.23.2012

[film] Quatre nuits d'un rêveur (1971)

12日月曜日の晩、ユーロスペースで見ました。『白夜』。

今年1月のFilm ForumのBresson全作品レトロスペクティブで見たのに続いて2回目。
あのレトロスペクティブは他の国もツアーしてたようなので、まとめて来てほしいなー、という祈りをこめて足を運ぶ。

できれば『やさしい女』(1969)も一緒に見たかったのだが。
どっちもドストエフスキー原作、というだけでなく、どっちも彷徨える若者が読者に呼びかけるかたちで進むというだけでなく、映画だとブレッソンのエロ(なんてあるんだよ、と言ってみた上で)が狂い咲きしているようなかんじがあるの。

Martheの家の下宿人が貸してくれる本の山のなかにはアラゴンの『イレーヌ』とかクレランドの『ファニー・ヒル』といったエロ本があるし(原作ではウォルター・スコットとプーシキン)、妙に唐突で、しかしものすごく美しい彫刻のようなMartheのヌードとか。
しかも、そのヌードはJacquesに語りかけるMartheの話のなかで出てくるだけなので、Jacquesの目に届くことはないの。 なんてかわいそうなJacques …

こんなふうに決して到達できない女性の性のまえで途方に暮れてあーどうしよー、みたいなとこが腰のあたりからなかなか上に向いていかない変なカメラの位置とか動きとかから。

ぼーっと発情したあたまで街を彷徨うJacquesの白く包まれた四夜の出来事。
最初の夜、橋から身投げしようとしていたMartheと出会い、二夜目にお互いのことを話して親密になり、三夜目に更に親密になり、四夜目にいよいよ、というとこで突然夢から醒めて突き落とされる。
で、その翌朝、ああありがとうMarthe、とかしらじらつぶやきながら画布に向かうの。

あと、こないだTIFFで見たアサイヤスの『5月の後』をぼんやり思いだした。
Jacquesも『5月の後』の主人公のGillesと同じように、68年5月に間に合うことなく悶々と絵ばっかり描いているのか。 なにひとつ思う通りに手に入れることができない若者は錯乱して変な絵を描いたり、テープレコーダーになにか吹きこんだり、映画に向かったり、そんなことするしかなかったのか。

あとはなんといっても橋の下を抜ける遊覧船だよねえ。裸身と遊覧船がとにかくとんでもないので、ここだけでも見るべし、なの。

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