2.15.2012

[music] Univers Zero - Feb.12

「魔女」が終わったらもう6:30で、上映後のトークはごめんなさいして、吉祥寺に行って、みました。  わりとくたくた。

Univers Zeroがまだ続いていたなんて知らなかった。
というか、こういうバンドは地味に静かに続いていることも多いので、いちいち気にとめていない、というか。

"Ceux du Dehors"を聴いたのは高校のころで、当時はCabsとかTGとか脳によくなさそうな音ばかり聴いていて、これらR.I.O.系の音 - Art ZoydでもZNRでも - は少しは別の領域に世界が拡がっていくような気がしたの。
しかしその後、Eastern Worksから送られてきたRIOの作品カタログ(文字びっちり)なんかを見て、世の中にはこんなに聴かなきゃいけない音があるんだ、と絶望してこの世界とは少しだけ距離を置くようになったのだった。 (それにしても、これだけの時間が経ったのに、聴かなきゃいけないリストの量が減った気がぜんぜんしないのはどうしたものか)

当時の暗い目をしたぼんくらに、おまえはいまから30年後に"Dense"をライブで聴くことになるのだざまあみろ(よくもわるくも)、とか言ってやりたい。

入ったのは前座の最後の数分くらい。ここに最後に来たのはRichard Pinhasだったか?
一番後ろに立って見ると、しろあたまとはげあたまとまだらあたまの群れ。 「大人の休日」ふうのださいチェック柄多し。 やれやれ。

メンバーは6名、当然いろいろ変わっているようだが、Daniel Denis(これまでずっと、ダニエル・デニスだとおもっていた。すこしだけ衝撃)がメインにいる限り、だいじょうぶなの。

ネコがネズミを追っかけて、ネコは魔女にさらわれて、魔女は審問官に火あぶりにされて、審問官は悪魔に浣腸されて、悪魔は世界の鍋底で燻り焼かれて、ネズミがその粉をなめる。 この永劫にわたって螺旋状にのびていくかごめかごめ(ヨーロッパ音調)をそのまま音に起こしたような。
コミカルで軽快でヒステリックでゴスでダークで圧巻で、かっこいい。

ただ、その圧巻とか熱狂のありようがおじいさん達の神通力的ふんばり、ふうではなく、クラシックとか現代音楽のそれで、クールで、そこもまたかっこよい、と。  
みんなあたりまえのように巧いし。

当時は、エレクトリックギターの轟音も、シンセのノイズもなしに、クラシック楽器の、弦と管の擦過音のみであそこまで強く、猛々しい音を出せるということに驚愕したのだった。それは"Ceux du Dehors"のジャケットに映っているなんだかよくわからない禍々しそうななにかとしか言いようがなくて、それはそこからそれまで聴いていた英国のロックからヨーロッパのそれに目を向けさせてくれるきっかけにもなった。(RIO系のバンドというのはそのための恰好のガイドだったの)

それにしても本編最後に演奏された"Dense"の見事だったこと。中盤の手拍子のとこまできちんと再現されていた。 いや、それは「再現」というよりも、何十年もえんえん続いている彼らの戦いそのもののように力強く鳴っていたのだった。

というわけで、週のあたまから"Dense"の音がずうっとぐるぐる洗濯機みたいに回っているの。


上の話しとぜーんぜん関係ありませんが、バレンタインの日のFilm Forumは、"A Star is Born" (1937) と"Nothing Scared" (1937)の2本立て。
そしてBAMのCinematekは、"The Shop Around The Corner" (1940) !!   BAM、しみじみいいなあ。

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