まいにちあまりにあれこれ過酷でしんどいので、午後になるとどうやって早く抜けてどこにいくか、とか、そんなのばかり考えるようになってしまった。
で、そんななかで久々のアナログばか一代に行った。
ずっと出張とかで行けていなかったし。
アメリカから戻ってきて以降(2006年からだよ)、いまだにアナログが聴ける環境になっていないので、ああいう音に飢えている、というのもある。
聴けてないレコード、たぶんもう300枚くらいあるわ。
この会、おもしろいんですけど、どう説明したらよいものか。
ライブではないし、試聴会、でもないし、レクチャー、というほど啓蒙してくれるわけでもないし(かけてる本人達が感動したりしているし)、漫談、というには喋らなさすぎだし、単にレコードをひっくり返しひっくり返し2時間半だらだらしているだけなの。
デートでこんなのに誘ったら次は間違いなくないとおもう。
でも、こんなんでも、ヴァレンタインだからラブソング特集をやるという。
リアルな愛を語るための、愛を盛りあげるための楽曲ががんがんかかる、なんてことは間違ってもなくて、化石とか琥珀みたいに干からびた太古の愛のかたち(塩ビ製)を掘り出してきて、おー、とか、わー、とか言いあう、そんな世界なの。
最初がElvisの7inch("Loving You")で、しばらくMonoの7inchシリーズが続く。
あったりまえに、圧倒的によいの。 50年代のアメリカ映画のなに見たって素敵なのと同じで、最初の一音、最初の一声からうっとりするしかないの。
それがどんなに、は言葉ではむりだわ。
おいしいお菓子がどんなにばりばりにおいしいか、食べてもらうしかないのと同じよ。
でっかい極上の真綿布団に全身を包みこまれて、その上から木槌で柔らかくぽこぽこ叩いてくれるような心地よさがえんえん。
でもまあ、うっとりしているのが(ほぼ)孤独な老人とかばかりなので、あんま美しくないかも。
他にはNeil Youngの"When You Dance I Can Really Love"の7inch Monoの別バージョンとか、Smokey Robinson & the Miracles(いいのこれが)とか、The Walker Brothersとか、The DoorsのFirstのMono(こないだのRecord Store Dayで復刻されたやつもおなじだろうか?)とか、サム・カプー(だれだあんた)の「ちょと待て下さい」とか、いろいろ。
カセットの音もなかなかいかった。 昔のラジオ音源だったのだがあんなにいいものなのかー、と。
昔のカセットなんか捨てちゃったよ、という話の流れで、断捨離はよくない、あんなのとんでもねえ、という訓戒もでた。
そうだそうだー、と。 でも、それは量あってもそれなりに整理できてるひとが言うから様になるんだねえ。 きっと。
まずは積んである箱の蓋を開けて、なかみを見ることからだね。
最後にかけたLenardo Cohenの新譜のアナログがすごかった。
録音はデジタルかもしれないが、それがアナログだとあそこまで艶めかしくシルキーなじじいの吐息として前面に出てきてしまう驚異。
最後の最後は、むかしの「3時にあいましょう」で"My Way"をマタギの恰好してとろとろに歌いあげる勝新の動画。 もうじき発売されるBoxには入らなかったブツ、ということでうおお、であった。
昭和の頃は、こんな危ねえもんが午後3時のお茶の間に垂れ流されていたのだと。
ラブソングを歌う、ていうのはこういうことなんだ、と有無を言わさず納得させてしまう丸め技。
お帰りのときには、まだ店頭に並んでいない本の販売があって、あの人数で、買ってね!とか言われたら買わないわけにはいかないので買う。 おまけのCD-Rは、まだ聴いていないが、きく。
アナログといえば、こないだNYでさんざん悩んだやつがあって、Pere Ubuの"Final Solution"のオリジナル(たぶん)の7inchがねえ。 買っておけばよかったかなあ。次行ったときまだあるかなあ。 ぶつぶつ。
2.17.2012
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