5.04.2011

[film] You Are Here (2010)

連休ふたたびの火曜日。 どうせ映画しかないのよ。

シネマヴェーラで見た1本。 『スイング』”Swing High, Swing Low” (1937)。

監督がMitchell Leisen、主演がCarole Lombardのミュージカル・コメディ、ときたら見るしかない。

パナマ運河に立ちよった船で美容師をしているマギーが、丁度その日に除隊するスキッドと知りあって、いろいろあって一緒に住むことになるの。
スキッドはトランペット吹きなのだが不良で、マギーはなんとかふたり一緒にバーで働いてがんばることにして、ふたりの歌とトランペットのコンビは評判になっていって、結婚するの。 
そのうちスキッドはNYにスカウトされて行っちゃって、やがて名声と酒に溺れたスキッドに愛想つかしてマギーは離れちゃって、スキッドは更に落ちぶれて宿なしになって、んで最後には。

ええお話でしたわ。

マギー役のCarole Lombardとスキッド役のFred MacMurrayの相性が、あらっぽくて適当だけど、昔の江戸の夫婦みたいで、なんかよいの。

関係ないけど、パナマのでっかい蟹ってすんごくおいしいのよね。
またいきたいなー。


それからどしゃ降りのなか、新宿に向かって、イメージ・フォーラム・フェスの1本、『あなたはここにいる』 - "You Are Here" (2010)を。

ちらしには、メタ刑事映画、とあったが、まあ、そんなもんかな。

大学の講師みたいなおじいさんが出てきて、この波の映像をみてください。肝心なのはあなたがこれをどう - ”How” - 見るか、なのです、とかいう。

あるいは、「アラン」という「ヒト」が出て来て、「アラン」みんなはどこかに向かっていて、車に轢かれかけて、パスワードを思いだすことができない。

あるいは、ロケーターといういろんな「ヒト」から掛かってくる電話でそのひとの位置をポイントしまくる人たちの会社?がある。

あるいは、いろんなドキュメントや映像をアーカイブしている人たちもいる。

あるいは、コンピューター化された目を発明した男がいて、それで盲人は視野を得ることになるのだが、やがて人々はコントロールされた同じものしか見えなくなる。

みんなそれぞれ、自分がなにをやっているのかはわかる、でもなんのためにそれをやっているのかを問われたり、なにか予期せぬこと、スコープやコンテキストの外にあるものが現れたとき、前提や条件のかけ違い、あるいは単に忘れる、迷う、ということが起こったとき、うまく対応・対処することができない。

自分はここにいる、ある、ということを保証するもの、保証してくれるものは一体なんだろう。その「保証」にはどんな「意味」があるのだろう。
「世界」がそれを支えてくれないものになったとき、支えてくれないような事故だのなんだのが起こったとき、一体なにが起こるのだろう。

などなど。

こういうのはがっこで、ろんりがくとかいみろんで、吐きそうなくらいやった。
命題としては、べつに新しいテーマではない。
いくらでも転がしていける。

古くからあるこのテーマが、この時代に、こういう映像として出てきた背景は、わかるよね。

誰もが位置情報で地図の上の自分の位置を確認して、監視カメラがそれを押さえて、なんでもかんでもログに録られてアーカイブされて、検索技術はサバイバル技術とイコールで、ネット上には地図も歴史も全てがある、とされているような現代。
でも、そういう社会のありよう、そこに向かう人たちの意識、あるいは仕事のありよう、てあまり正面から映像化されたことはなかったのかも。

なんでみんなあんなに四六時中携帯やネットに浸かってぴこぴこかたかたやっているのだろう。
食事したり会話したり移動したり睡眠したり、と同じような生活 or コミュニケーションの一様式になってしまったから考えてもしょうがないようなことなのか、或いはそれらと並列にできないなんか後ろめたいなにかを抱えているからなのか。

そういうのに対するひとつの解、というか試論、というか。

学史としては、ハイデガー 〜 ジョン・サールあたり(中国語の部屋はそうよね)で、おもいっきりおちょくってやりたくなったりもするのだが、トーンとしては、どこまで行ってもまじめだし、テンションが途切れることはないの。

中原昌也が正しく指摘しているように、インターネットの登場は確実に人類をバカにした。
TVよりもはるかにバカに。
ばっかじゃねーの、の一言で終えてやってもよかったのかも。

ラストにGonzalesの"Map of the world"が流れる。
でもね、ネット上に世界地図なんかないのよ。 それはせいぜいMy pageみたいなやつにすぎないのよ。 

Talking Headsの"Once in a Lifetime"でも流してやればよかったんだ。

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