ホテルの部屋が3時まで空かないということだったので荷物を預けて外にでる。
Metropolitan Museumでこれをみました。
http://blog.metmuseum.org/alexandermcqueen/
ぽつぽつ雨が降る日曜だったのに、だったからか、人でごったがえしていた。
Alexander McQueenの展示は45分待ちのながーい行列。
ここまで並んだのは、知る限りのところでは2001年のJacqueline Kennedy展以来、かもしれない。 (もう10年かあ・・・)
Costume Instituteの展示としては異様なかんじ、ファッションというより自然史博物館の展示のような、静かでダークな空気に満ちていて、観客も静かに見守るしかない。
生地や縫製やフォルム、デザイン、スタイルの優美さや華やかさにうっとりする、というのとはちがう。斬新さや先進性、かっこよさに感嘆するのでもない。 羽根や貝や革といった皮膚の表面を覆う別の皮膚の生々しさ、猛々しさに言葉を失う、というかんじ。
それでもこれは服飾で、皮膚を覆って隠し、着飾るという用途をもったなにかであって、そうすると彼がここまでして体を覆う表面・表皮をあのように変えなければならなかったのか、なにを隠そうとしていたのか、なにを表に出そうとしていたのか、というのが問いとして出てくる。
で、それらの問いに対する答えは置いておくとして、そこに並べられた作品群ははっきりと、ある意思と意図をもって生みだされたものというのはわかって、そこに向かう彼の情動、観念の動きや本能の流れを"Savage Beauty"と呼んだのだとおもう。
でもそれは野生や自然のフォルムやオブジェに対して美しい、というのとははっきりと違っていて、また単にそれらをヒトの装飾品としてアダプトしてすごいだろ、というのとも違っていて、そこにはある種のナイーブな痛ましさ、変容せざるを得ない悲しさ、みたいのが常にあるの。 わかりやすくいうと、Tim Burtonの作品にでてくる化け物のかなしさと同じようなものが。 (彼の作品にインスパイアされたのもあった)
もちろんその痛ましさをAlexander McQueenの自死に安易に結びつけるようなことは避けなければならないのだが、ただ、彼の作品自体には、ファッションの、例えばレッドカーペットの喧噪や煌びやかさは微塵もなく、ひたすら静かで孤独な存在の輪郭がくっきりと認められるのだった。
ふつうのファッションの展示にある、誰それからの依頼を受けて、とか誰それのために制作、といったことよりも、それらの意匠は商取引とは別のところで独自に成長して進化をしていくかのように見えた。 で、彼らはあるポイントから進化が止まってしまった、行き場を失ってしまった生物のようにも見えた。 トレンドや流行、とは別のところで、少なくともそんなふうな表情をみせる服なんてみたことがない。
異形への変容を促す力、それを受け入れる力がどこから来たのか、それらは人間の身体のありようとどう関わってヒトの知覚を変え、もとあった力に還元されていくのか、この一連のサイクル、生命の渦のようなものこそが彼を魅惑し、創作に向かわせていったのだとしたら、21世紀に入ってからのファッションの動静は彼にとってはほんとうに生きにくい、扱いにくいものだったに違いない。
というようなことをぼーっと考えながら観ていました。
ピラミッド型の水槽内に映し出された3Dのひらひら、ほんとにきれいだった。
で、カタログも買ってしまった。 ここでカタログを買ったのは、Diane Arbus以来かも。
もし、行きたいなーとか、迷っているひとがいたら、絶対行ったほうがよい展示です。
もういっこは、これ。
http://www.metmuseum.org/special/se_event.asp?OccurrenceId={F2475C18-07BA-4A0E-B4BA-9B6070450EA7}
C.D.フリードリヒの、"Woman at the Window" (1822) のほんもんが、ついに見れる、見れた、ということで。 よかったよかった。
ドイツロマン派における窓、というのは、べつにいいよね。
で、芋あらいのなかを抜けて、5thを下るバスに乗ったらパレードでLexを迂回していやがって、約30分のロス。 でMOMAでメンバーシップをリニューアルしてから、展示をいっこだけ。
"Looking at Music 3.0"
http://www.moma.org/visit/calendar/exhibitions/1147
これのイベントでいろんなひとがなんかやってたやつね。
New Yorkの80'sから90'sにフォーカスをあてて、ということらしいが、点数はあまりないし、基本知ってるのばっかしだった。
Miranda JulyのVideo作品とか、ちゃんと見ておけばよかったかも、というのもあったが、やっぱし、NYの80年代って、自分の知っている80'sとはぜんぜんちがうのよね。
HipHopの刺さりかたとか、いろいろ。
で、これもざーっと流して、ホテルに戻って荷物とりこんで、こんどは映画へ。
5.19.2011
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