10月25日、日曜日の夕方、新宿ピカデリーで見ました。
原作はDaniel Krausによる同名小説(2023)、脚本は原作者と監督Brian Duffieldの共同。製作には大好きな”Splash” (1984)のBrian Grazerがいる。あれとはちょっと違うけど。
邦題は『クジラに落ちた男』。落ちたというよりのまれたのだが。
カリフォルニアの海岸沿い、冒頭、具合の悪そうなMitt (Josh Brolin)が船の上で手紙を残して重しをつけて海に潜っていく。船にいるおじさんは泣いていて、それが自殺であることがわかって、そこから1年後、彼の息子のJay (Austin Abrams)が実家に戻ってきて母(Elisabeth Shue)や家族と再会して、父とのことを振り返る。幼い頃からスキューバダイビングの特訓を受けてきたがまったく父の期待には応えられないまま家を離れた息子だったなあ、など、ぐじぐじ思いだしたりしているうち見つかっていない父の遺骨を拾ってみよう、と思ってひとりで海に入っていく。シャチが出るので海辺は遊泳禁止だったのに。
海に入ってしばらくすると、ダイオウイカとクジラが追いかけっこをしていて、ひえー、とか見ていると再び現れたダイオウイカに絡まれて、絡まれた状態で引きずられてクジラにのまれてしまう。最初はパニックでなにがなんだかわからず、でもまだ死んだり溶けたりしていないのでどうにかしてみよう、といろいろやってみることにする。酸素の残りは約1時間。
自分がそうなったら絶対、簡単に諦めて消化されていくよね(どれくらい痛いのか、麻酔みたいにやられるのか、等)、と思うのだが父親に認められなかった/認められたいJayは、父の教えを思い起こしたりしつつ、がんばろうと決意する。でも先にのまれたダイオウイカは暴れたけど消化されちゃうし、その嘴が刺さって負傷するし、強い力でのまれて運ばれた胃の次の部屋では消化液で手がただれたり、ここにいたらやばい、って発光クラゲの明かりと尖った嘴を使って食道の方に戻る。更にがんばったら口の方まで行けて少し外が見えて、クジラクルーズの人たちの声が聞こえておーいおーい、ってやるのだが、クジラは深海のほうに急降下していって…
こないだの”Resident Evil” (2026)でも巻き込まれて散々な目にあって災難続きのAustin Abramsが
Jason Stathamでもあるまいし、落ち着け、と、だいじょうぶ、を自分に向かって連発しながらがんばっていくのだが、この人の最大の魅力は、引っぱられたりやられたりしたときの(”Resident Evil”にもあった)「きゃーっ」っていう叫びにならないような小さい叫びで、この生々しさがたまんないのかも、と気づいた。
結論はのみこまれて排泄されちゃった... とか、のみこまれたら父に会えたよ、とかになるわけはなくて、じゃあどうやって、の中身は結構バカバカしいのだが、のまれてじたばたしていったり、海に入る前の段階でこれは… のことも多いので、そこそこ安心する(どこが?)。 荒唐無稽だけど、父と息子のお話として筋は通っていたかも。
というか、最後にタイトルである”Whalefall”の意味が明らかになると、父と子の関係とか、マスキュリニティとか、この映画の中で描かれたいろんな層での戦い、サバイバルなどが、すべてそれなりのスケールで説明されてしまう、その風呂敷の大きさはなんかよいと思った。 そこらの海洋パニックやサメ映画よりもどこか純文学ぽいというか。
あと、クジラはなーんも悪くなくてかわいそうすぎるので、次はクジラ目線で、ほんとうについていなかった散々・最悪の日、を映画にしてあげて。
11.02.2026
[film] Whalefall (2026)
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