6.23.2022

[film] Elizabeth: A Portrait in Part(s) (2022)

6月18日、土曜日の午後、ル・シネマで見ました。午前に世田谷美術館でピーター・ラビット展を見て、ぴょんぴょん跳ねながら。ピータ・ラビット展よかったけど、併設のフレンチ、ウサギ肉のパイは面倒だろうけどテリーヌくらい出せばよかったのに。

監督はついこないだ”The Duke” (2020) - 『ゴヤの名画と優しい泥棒』が公開されたばかりのRoger Michellで、これが彼の遺作となった。邦題は『エリザベス 女王陛下の微笑み』。

こないだPlatinum Jubileeを迎えたQueen Elizabeth II - エリザベス女王のドキュメンタリーなのだが、なにしろ相手は在位70年の女王陛下なので、アーカイブ映像なんて山のように死ぬほどあるだろうし、Platinumじゃなくても彼女の誕生日にはBBC Oneとかで当然のように特番が組まれて随分いろんな女王の「素顔」や「イメージ」は見てきた気がする – 実際ロックダウンの頃ってそんなのばかりだったかも - ので、今更、この上になにを? って思ったりもしたのだが、結構楽しく見ることができたかも。

わたしは中学生のときにシングルの”God Save the Queen”で”No Future”を摺りこまれて叩きこまれてこんなぼろ切れになってしまった者だが、このジャケットのJamie Reidによるアイコンとあのコーギーに囲まれて幸せそうなおばあさんとは別のものとして見てきた気がするし、割と英国の平均的な民(という言い方には注意が必要だけど)もそんなかんじで、ものすごく忌み嫌う必要はないし、あんなふうに生きている人がいてもよいのでは、くらいの感覚なのではないか。もちろんこれが100年後に巧妙に仕組まれたプロパガンダでした、ってなる可能性もないことはないかもだけど、いいや。

もちろんこんなことが例外的に適用されるのはあの女王様だけで、フィリップはどうでもよかったし次の王になる(たぶん)チャールズなんかふん、だし他の王族連中も揃って堕落した変態ばかりでしょうもないし、な印象はある – ただの印象だけど。

そういうわけで、Platinum Jubileeの記念品はBiscuiteersの缶からからFortnum & Masonの紅茶からRoyal Collection(これはまだ未着)まで円安と送料に泣きながらクリックして、届いてからちぇーっ(しょぼい)とか言っていたり、この映画もそんなムダ道楽の一部として見ておいてよいの。(言い訳ばっかり)

タイトルにもあるように女王のこれまでをいろんなパーツ - “The Queen’s Speech”とか”Ma’am”とか”Close-up”とか”At home”とか”In the saddle”とか”At sea”とか”Dream come true”とか”Horribles”とか - で切り取って繋げて、その塊りに当時の音楽とか映像を被せて、その切り口が時代・歴史上の出来事に結ばれるのでもなく(戦争とかでっかいのは当然ある)、家族王族の出来事に重ねられるのでもなく(結婚とか出産とかは当然ある)、どちらかというとどうでもよさそうでくすっとしてしまうようなポートレイトが中心で、最近の王室周辺の不穏かつ不吉なあれこれもほんの少しは。

馬に乗ってぱっぱか黙々と走っていくとことか、競馬で勝ちそうなときに小躍りしてたりとか、なかなか楽しいし、音楽だと”At home”のパートでMadnessの”Our House” (1982)が結構長く流れる(Suggsの顔もちゃんとでるの)ところできゅんとなったり。音楽のセンスはよくて、Fred Astaireの”Cheek to Cheek”とか、Guy Mitchellの“Look at That Girl”とか、Noel Coward の”Don't Let's Be Beastly To The Germans”なんかまで流れて、最後はもちろん”Her Majesty”で。”God Save the Queen”も”The Queen is Dead”もやっぱり流れなかったわ。

不敬とまでは言わないけど、これではパディントンと同じではないか、かもしれないけど、別にパディントンで上等ではないか – ひとをほんわか幸せにしてくれるのであれば、とか。

本当はRoger Michellの少し前のドキュメンタリー - “Nothing Like a Dame” (2018)のようなやりかた – 女優Eileen Atkins、Judi Dench、Maggie Smith、Joan Plowrightたちが庭でお茶を飲んだりしつついろんなこと - なんで女優になったか、女優であることはどういうことだったか - などを喋る – ができたらすばらしかったかも、って思ったのだが、そもそもあんなふうにリラックスして語る女王の絵、ってないか?

おめでとう、長生きしてね、って言いつつ、”The Crown”の次のシーズンはまだか。 (11月かあ..)

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