25日、連休最後の日、ほんとはもう一回ポーランド映画祭に行こうと思っていたのだが、なんか疲れてて、あそこの地下にまたもぐるのもなんかなあーと思って、銀座で1本だけ見ました。
単なるThe Duke and Duchess of Windsor - Wallis Simpson & Edwardのお話、ではなかった。
90年代末のNew Yorkに暮らす女性 - Wally Winthrop のおはなしだった。
Upper East(たぶん)のクラッシーなアパートに暮らしているが夫は医者で忙しくてなかなか帰ってきてくれなくてDVで、子供が欲しくて仕事まで辞めたのに、お先どんよりの日々。
丁度そのころ(98年の2月、たしか)、ふたりの遺した宝物のオークションのPreviewがSotheby'sであって、それは今だに語り継がれるお祭りだったのだが(前年に発売されたオークションのカタログは分厚い3巻本、出品点数は40,000、売り上げはぜんぶで$23million)、当時あそこに住んでいるひとだったら誰でも嫌でも、わんわん報道され続けるWとEの人生に向きあわされてしまうのだった。
要するにこれは"Julie & Julia" (2009)で、現代のJulieが偉人Juliaの足跡を辿ることで自分の今とこれからを見つめ直したのと同じように、WallyはWallisの人生に自身のなにかを重ねて(表面は満ち足りた生活、その裏側に愛の名のもとの孤立と迫害)、Wallisの手、Wallisの瞳に引かれるようにPreviewの会場(72nd & York)に通いはじめ、そこで会場のセキュリティガードをやっていたロシア系移民のEvgeni - もうひとりのEと出会う。
その会場で彼女は、後世に遺された宝飾品が語るW.E.の物語を聞き、Wallisの手袋に背中を押され、妄想でぱんぱんになった勢いで裕福なおうちを捨てる決意をするの。
たんに満たされなくてロマンに憧れる人妻のメロドラマ、それを世界を揺るがした世紀の恋に勝手に繋げ、崖から飛び降りるようなことをして、それでも全体が浮ついたしょぼい夢物語にならなかったのは、ひとりひとりの苦痛と、想いが叶わない地獄を存分に描いた上で、それでもこの恋を生きるのは自分だ、自分が行くんだ、ていうぶっとい決意が漲っているから。(Abbie Cornish、"Bright Star" (2009)に続いてすばらしい目の強さ)
主人公の妄想で都合よく切り取られたWindsor公のお話しも、妄想だもんだから、なかなかにすばらしい。らりらりのパーティーでPistolsの"Pretty Vacant"("God Save the Queen"にしなかったのはさすが)にのって、弾けたように踊りだす瞬間のすばらしいこと(横で一緒に踊ったのはJosephine Baker?)。
同じく、死の床にあるEdwardの求めに応じてゆっくりと舞い踊るWallisも。
Writerは、Madonnaと、彼女のべたべたにおセンチで甘い(でも大好き!)ライブフィルム - "Madonna: Truth or Dare" (1991) を撮ったAlek Keshishian。なるほどね。
すごくどうでもいいことだけど、WallyとEvgeniが最初にデートするMadisonのSant'Ambroeus - ジェラートがすんごくおいしい - あれって00年代にリニューアルする前のレイアウトじゃなかったかしら? 90年代、Big GayもVan Leeuwenもなかった頃、おいしいジェラートはここにしかなかったんだよ。
12.04.2012
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