ねむすぎるので書き易いのから書いてしまおう。
2日の日曜日の晩、六本木で見ました。
James Bond 50周年記念作品の監督がSam Mendesと聞いたときはえーっと驚いたものだったが、ぜんぜん外れていなかったかも。
抗いつつも崩落の誘惑にずるずると溺れ、堕ちてていく英国、その突端で奮闘するスパイもまた、同様に腐っていく - という、こないだの"Tinker Tailor Soldier Spy"でも描かれたボロ雑巾な構図は007にも例外なく適用されて、みんな疲れてて、でもどうすることもできないし、もうスパイなんて毎日の生活に関係ないよね、とか。
そこらへんの疲労感を英国の慢性的な病 - あるい周知公認された「病」の定常化された日々として描く、このへんはSam Mendes演出のShakespeareでも見ることができたのだが、だからJames Bondはいつもいつも超人的でアクロバティックな技量を発揮するわけではない疲弊したスパイとしてそこにいて、だからよりリアルで、悪くないの。(まあ、よりリアルになった、というのは007の新作のたびに言われる惹句なわけだが)
そして、Sam Mendesが継続的に描いてきたテーマである家族もはっきりと出ていて、スパイみんなのお母さんであるところのMがあやうし、になったり彼の生家が出てきたり、必ずしも孤高のスパイではない、人の子としてのJamesも現れてくる。
だからといってアクションがつまんないかというとそんなことはなくて、穴から地下鉄が落ちてくるとか、トカゲに食べられちゃうとか、わかりやすくてよいの。
悪役のJavier Bardemも、マザコンでおかまで歯抜けで爆発白髪、というBondを180度反転させたようなくどいキャラをさらりと演じている。とどめの刺されかたもすばらし。
しかし、どこまで行っても英国。ここまでいくか、というくらい英国。
Mが聴聞会で諳んじるテニスンといい、007とQが出会うNational Galleryとターナーといい、地下道と地下鉄、Skyfallのある荒野といい、オリンピック記念だか即位60周年記念だか、大英帝国万歳!でどこまでも平気なツラして押してくる。
NATOの潜入スパイリスト漏洩というとんでもない事態が起こっているのにアメリカも他の国もなんも言ってこないし。
で、あるのだが、最後の対決の舞台とか、ヘリコプターでの追い討ちとか、まるで西部劇だったりする。
(Roger Deakinsのカメラ、かっこいい!)
新しい顔となったQ、人気がでるのはわかるのだが、敵方から押収したPCをそのままMI6の本番LANに平気でぶっこむ、という初心者かおめーは(殴)、みたいな信じ難いミスをしでかし、これが後半の大惨劇をもたらすことになったのだから、クビか、当分は自宅謹慎とせざるをえないであろう。
記念作品だからアメリカ人が監督することはありえなかったのだろうが、このプロットで、Tony Scottが撮っていたらなあー、とちょっとだけ夢想した。
12.07.2012
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