15日の土曜日、オーディトリウム渋谷の『新・女性映画祭 "こんなふうに私も生きたい"』という特集から『アリス・ギイ傑作選 1987年~1907年』を見ました。
セレクションから興行の運営まで、学生さんの授業の一環だという。いいなーこんな授業。
世界で最初の女性映画作家、アリス・ギイ(Alice Guy)の作品集。
見たのは以下のような短編ばかり全20本、一番長い『キリストの生涯』でも37分。
20本と言っても1897年から1907年までの間にゴーモンで撮った約400本のうちの20本。
このあとアメリカに渡って1910年から1920年までに350本あまりを撮っているのだと。(会場の配布資料による)
ほんとに、始まりの始まりのころの映画なので、女性映画と言ってもいまの我々がイメージするそれとは違っていて、テーマがそれっぽい(ダンスとか、ひらひらとか、xx女、とかそんなような)だけで、基本は日常のあれこれをちょっとだけひねって、あらら、くすくす、みたいなかんじ。
でもおもしろい。見ててぜんぜん飽きない。
メニューは以下。
1897 「急流の釣り人」「ボブ・ヴァルテル 蛇踊り」
1898 「手品の場面」、「明け方の家の椿事 普仏戦争のエピソード」
1899 「おいしいアブサン」
1900 「帽子屋と自動肉屋」、「四季のダンス 冬/雪の踊り」、「管理人」、「世紀末の外科医」、「ピエレットの過ち」、「キャベツ畑の妖精」
1902 「第一級の産婆」、「あいにくの干渉」
1905「ビュット=ショーモン撮影所でフォノスコープを撮るアリス・ギイ」、「本当のジュウジュツ」、「フェリックス・マヨル 失礼な質問」
1906 「キリストの生涯」、「マダムの欲望」、「粘着女」
1907 「フェミニズムの結果」
最後のほうに特におもしろいのが多くて。
「キャベツ畑の妖精」というのが有名で、キャベツ畑に赤ん坊が湧いてでる、という。
フランスでは赤ん坊はキャベツからできるんだって。日本ではそんなキャベツを千切りにして揚げた豚の横に並べちゃうのにね。 キャベツ畑に赤ん坊のイメージは他の短編にもあった。
「マダムの欲望」っていうのは妊娠中のマダムが空腹でなんでもかんでも食べたくてしょうがなくてしょうがなくて、子供のでも乞食のでも、食べものを横取りして自分の口に入れちゃうの。
「粘着女」っていうのは、口が糊になってなんにでもひっついちゃう女のひとの話で、それだけなんだけど。その女のひとがあまりに地味で普通の顔しているのでなんかおかしいの。
「フェミニズムの結果」は、男性と女性の役割が逆転したらこんなんなります、というやつ。
男が下女とか子守とかをやってて、女衆は酒場で酒とか飲んだくれちゃって、でっかい女がか細い男をがっしり掴まえてむりやりキスしようとして、男のほうはいやいやするんですね~ (← 淀川長治口調でおねがい)
だいたいこんな具合なんですが、あーおもしろかった、と出るときに特集のタイトル"こんなふうに私も生きたい"を見てしまうと、なかなか笑えるのだった。 「粘着女」として生きる、とか。
12.26.2012
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