17日の日曜日、BFIのBarbara Stanwyck特集で見ました。監督はMitchell Leisen。
冒頭、Barbara Stanwyckの声が、この素敵なおうちは自分のものじゃないんだ、などなど独白していて、やがて玄関の呼び鈴が鳴ると彼女は男と目配せして出て行こうとする。
そこから時間を遡って、身重でやつれたHelen (Barbara Stanwyck)が その父親と思われるチンピラふう男のところに行くと、別の女と一緒にいるそいつは顔も出さずにとっとと田舎へ帰りな、って列車のチケットを差しだしてくる。
泣いててもしょうがないので、田舎に帰ろうと列車に乗っていると親切なカップルが席を譲ってくれて仲良くなって、夜行なので寝る前のケアをしている時にカップルの女性の指輪を一瞬持ってあげたそのとき突然事故が起こって天地がひっくり返って暗転し、気がつくと病院のベッドにいて、赤子は無事に産まれていて、他の乗客はみんな亡くなって自分はしていた指輪からカップルの女性の方 - Patrice Harkness - と識別されていることを知る。
やがてカップルの男の方の両親が現れて、Patrice(彼らは彼女と直接会ったことがなかったらしい)と赤子が助かっただけでもよかったよかった、とい義娘として手厚くケアしてくれて自分達の家に連れて帰り、ここをあなたのホームとして暮らしていのよ、という。 余りによい人達で自分はアカの他人ですとはとても言えないし、赤子を抱えて路頭に迷うわけにもいかないし、戸惑いながらも瀟洒なお屋敷で一緒に暮らし始めることにする。
でもやっぱり、だんだんおかしなところが出たり話合わせが苦しくなってきて、亡くなった男の弟のBill (John Lund)が彼女のことを好きになり、彼と一緒に行ったパーティで、Helen - Patriceは彼女を放りだしたチンピラ男と再会して、おや名前もナリも随分違うじゃねえかとか因縁つけてくるので動揺して、動揺するとみんなに怪しまれてそれが雪だるま式に膨らんで、チンピラ野郎はどこまでもゲスで、追い詰められた彼女はどうなっちゃうのか。で、冒頭のとこに繋がっていくの。
なりすまし、というとこないだ見た”The Passenger”にしても昔のリプリー君にしても、自分からなりすましてやれって企ててなりすますことが多い(そして自分で破滅する)気がするが、ここのは事故に巻き込まれた二次災害のようなもので、自分ひとりなら面倒だから人違い、って言っちゃうのだろうけど自分には赤ん坊がいてその横には善意の塊りのような人たちがまるまる信じこんでくれている(本当のことを告げるのはかえって残酷)、そうなったときは揺らぐよねえ。
こういう状態なので彼女がチンピラ男を殺してやりたくなるくらい憎んでしまうのも当然だし、かといってずっとこの状態を続けていくのが地獄であることも確かだし、という自分では手をくだせない宙吊り状態の設定とそこを狙ってでんぐり返ってくるドラマがすごい。 誰もが自分がこうなったら、を考えて悶絶してしまうはず。
これ、男女逆だったら成り立たないやつかも。女性であるがゆえにどうにもならないとこも含めて、彼女の冒頭のナレーションと時折見せる放心したような表情、そしてタイトル - がしみる。
あと、最後の引っ掛けはちょっとびっくりで、ここも含めるとすばらしい女性映画、と言ってよいのかも。
2.28.2019
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