1月9日、水曜日の晩、BFIで見ました。クラシックをでっかい画面で見よう、シリーズで、1月のテーマはゴス・ホラーみたいなやつ(だったのかな?)。邦題は『回転』。
原作はHenry Jamesの小説『ねじの回転』。William Archibaldによる舞台用の脚本をTruman Capoteが全面的に書き直してタイトルも”The Innocents”にした、と。
小説の出だし - 暖炉を囲んで怖い話を語り出す、というところはなくて、Miss Giddens (Deborah Kerr)が家庭教師として赴く先の後見人のThe Uncle (Michael Redgrave)と面接しているとこが冒頭で、おじさんはもう忙しいし、あの子らの面倒は見たくないので宜しく、いちいち自分に連絡してこなくてよろしい、と全権を彼女に丸投げして、彼女は情熱あるしがんばります、と現地のお屋敷に赴く。
現地にはMiles (Martin Stephens)とFlora (Pamela Franklin)のふたりの子供たちがいて、メイドのMrs. Grose (Megs Jenkins)がずっと面倒を見ていて、Milesは(ぜんぜんそうは見えないのに)他の子達によくない影響を与えるという理由で学校を追いだされてきて、前任の家庭教師だったMiss Jesselは亡くなっていて、Peter Quint (Peter Wyngarde)ていう使用人もその前後に亡くなっていて、そういう中、Miss Giddensは屋敷の天辺に変な男がいるのを見たり、子供たちが子供たちではない誰かと遊んでいるのを見たり、いろいろ変な現象を見たり遭遇したりするようになって、やがて。
なんでそんな奇怪なことばかり起こるのか、過去の事件や事故に起因するのか屋敷に纏わるなんかなのか?という謎を解いていく話ではなくて、Miss Giddensの目に入ってくる禍々しいなにかと、それらからなんとしても子供たちを守らなければという強い使命感がせめぎ合ってつーんとした叫びが反響するなか、そのネジだかバネだかを巻いたり引いたりしていたのは、じつは子供たち(ふたりいるから2ひねり)だった、という – そしてその回転の総体とかありようを”The Innocents”と呼ぶのはそんな変なことではないの。
そういう仕掛けがどう、ということよりもコントラスト強めのモノクロがDeborah Kerrの凍りついた表情によく映えるのと、庭園や建物の隅、遠くのほうの視野の端っこ、識閾ぎりぎりの辺りで怪しい動きを見せる影と(無)表情とかが痺れるくらいよくて、怖いといえば怖いけど、これはつい何度も凝視して逃れられなくなるあれだわ、って。
The Others (2001)
1月23日の水曜日の晩、BFIの上と同じシリーズで見ました。”The Innocents”上映前のトークで、これを見たら”The Others”も見たほうがいいよ、って言われたのと、”Destroyer” (2018)の公開記念だかでNicole Kidman主演映画のランキングが出ていて(たしかThe Guardian紙に)、これが一位だったし。
1945年、Channel Islandsの古いお屋敷にGrace (Nicole Kidman)と娘と息子が暮らしていて、そこに3人の使用人 – ひとりは経験たっぷりそうなお婆さんで、ひとりの若娘は口がきけず、もうひとりは男性 – が訪ねてくる。3人は何故かこの屋敷のことを知っているふうだったが、それよりもふたりの子供たちに直接陽の光を当ててはいけないこと、などをてきぱきと指示する。
そのうちいろんな音とか影が子供たちのところに来たり現れたりするようになったり、部屋で古い写真(含. 沢山のmourning portrait)を見つけたり、戦地から戻ってこないので諦めていた夫が現れて、でもずっとごろごろしていたり、全体としてはお化け屋敷としか思えない怪異現象のサラウンド乱れ打ちになっていって、やがて。
これもネジの回転ものなのだが、回転の半径がでっかいというかメリーゴーランドだったというか、分厚いというかそれ故にそれに気づくまでに結構かかったかも。 実はどうってことない話なのだが。
白人女性のクールビューティが闇のなかで怖がって震えたり絶叫したりするのを見て喜ぶのの起源てHitchcockあたりなのかしら。 もう既に誰かが書いていたりしそうだけど、これはこれで病理的ななんかで、おもしろければよいのか、っていうとそうじゃない気もするねえ。
そういえば、Jordan Peeleの新作 - “Us”の予告がおっかなすぎる。
2.07.2019
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