6.29.2014

[film] 2 automnes, 3 hivers (2013)

27日の金曜日、いいかげんまじで死んじゃうくらいに頭が沸騰してて、ほんとは日仏の「満月の夜」に行きたかったのだが時間的に無理で、21:00のこっちはネットでチケット取れそうだったから取って行った。 フランス映画祭の「2つの秋、3つの冬」。 
Vincent Macaigneが出てるのと、なんとなく(タイトルだけだと)ロメールぽいかしら、程度と。

2009年、アルマン(Vincent Macaigne)は33歳、定職なし彼女なしでどんより生きてて、公園のジョギングでぶつかったアメリ(Maud Wyler)と仲良くなりたいなーと思ってて、そんなある晩、路上強盗に襲われていた彼女に遭遇してアダム・サンドラー気分で助けようとしたら腹をぐさーて刺されて病院送り、そっから仲良くなって、過ぎていった2つの秋と2つの冬、そしてエピローグの冬ひとつ。

このふたりのほかに、アルマンのアートスクールの頃からの友人のバンジャマンがいて、彼も脳血管障害で道端でぶったおれ、そのリハビリ中に言語療法師のカティアと仲良くなって、彼らも加えた二組のカップルとしてのあれこれもある。

第一部がこまこまチャプター24くらいまで数字があがっていって、第二部はチャプター20からカウントダウンしていく。 死にかけた男ふたりの病院から始まった恋が、ふたたび病院送りの破局でかなしく終る、のかと思ったらそうではなかった。 3つめの冬とその先を示唆するかたちでほんわかと終る。 わかんないけどね、てかんじで。

ストーリーよりもこまこまチャプターごとにアクターそれぞれがこっちを向いていろんなことを語る、そのスタイルのほうが面白くて、上映後のトークで監督は、映画では誰もやったことがないスタイル、とか言っていたけど、別にそんなことないよね。 MTVの”The Real World”とかを思いだした。

あとはいろんな引用。 Judd Apatowの名はチャプターのタイトルにまで出てきて、彼の”Funny People” (2009)がコラージュのように切り出されるし、他に映画ではEugène GreenやAlain Tanner(サラマンドル)、ロメロの”Night of the Living Dead"、アートだとヨーゼフ・ボイスとかムンクとか、音楽だとJoy Division(首吊り)とかいくらでも。

「2つの春、3つの夏」ではない、もう決して若くはない、臨死に近いところまでいった2人を含む4人の、晴れ渡った確かな未来、確かな絆と共にある恋愛、ではなく、家族や友人もふくめて誰も保証できないもやもやした明日の隙間にある、そんな恋愛の危うさと切なさは割ときちんと描けていたかも。
アメリが最初にアルマンのアパートに来た晩のこととか、エピローグでアルマンが見つめるアメリの後ろ姿とか、よいよね。

それにしてもVincent Macaigne、あんたってひとは。
2月のカイエ週間の彼の特集、”Kingston Avenue”あたりにもあった見事な恋愛亡者っぷり。
自身の容姿も含めて恋愛を呪いまくる癖に、恋愛から抜けられなくなって更に呪うもんだからゾンビのようになっていく、その生々しさとバカバカしさ、おかしさを全身で体現できるやつ。
こいつで"(500) Days of Summer”をリメイクしろ、とか、こいつでSeth RogenやSteve Carellが出てくるJudd Apatowモノをぜんぶリメイクしろ、とかおもった。

もう6月も終っちゃうんだねえ。

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