"...Oz"が終わったのが9:05、大慌てで階段を駆け降りて『濱口竜介レトロスペクティブ』でみました。 短いやつ3本とトーク。
最初の『はじまり』(2005) がはじまるところだった。
13分の短編で、女の子がどどいつみたいの(おもしろい!)をえんえんうなっている長回し。 そこに同級生の男の子が入ってきて少し会話をして離れる。
女の子はそのままトンネルに入って、出てくると時間が変わってて、男の子がこんどは2人きて少しおしゃべりして、男の子Aは突然だーっと走って行っちゃって、男の子Bも同様に(Aを追いかけるように)走って行っちゃって、カメラは残った女の子のきっとした顔を正面からとらえて、そこにざらんーとした電気ギターが被さってくる。
これが『はじまり』のはじまりで、おおお! かっこいいー! て唸るの。
"Friend of the Night" (2005) 44分。
音楽イベント用に怖い映画を、ということで依頼されて作ったものだと。
怖い話を書こうとして書けない作家の男がいて、その彼女がいて、だれかの披露宴の帰りに昔の女友達がじゃあ怖い話でも、と話をはじめるの。
その怖い話の語りがほとんどで、語りの中味(それなりにこわい)と、それを聞く男と女、その姪の女の子の交錯する視線と表情、黒目と白目、部屋あちこちの半端な暗がり、こういうのがじわじわと耳とか鼻を塞いでいくようで、ぬるいタオルで顔面を覆われていくようで、そこに意味不明の、つんざき型の女の子の絶叫がー。
血もないし、傷もないし、でもどこがこわいんだかよくわからないところがこわい、というケースの典型。 でもすごくおもしろい。 入れ子になった箱の、ただそこにあるだけの不気味さ、というか。
しかし音楽イベントではライブ前にこれの前半を、ライブ後にこれの後半を上映したのだという。
… うまくイメージできない。
"Nice View Second Edition" (2005/2010) 39分。
『アブラクサスの祭』の加藤直輝による大学のころの実習作品で、与えられたテーマは“戦時下の日常”、でしたと。
横浜のみなとみらい(Nice Viewなみらい)で同棲しているカップル、バンドしたり漫画書いたりデートしたりの平穏でからからした日常に唐突に現れるギロチン、秘密警察、そしてギターノイズ。
あー、『アブラクサス…』の轟音は既にこのころからのなのか、どうりで腰が据わっていたわけだ、と思って、上映後のトークを聞いて、更にそういうことかと。
否応なしに日常に入り込んできて、ひとそれぞれに適応せざるを得ない、そういうリアクションを引き起こすノイズ、そういう形でしか(たぶん)ありえない現代のあれこれ(をいかにして映像に - 云々)。 アサイヤスによるホラーの定義と近いものがあるが、この映画の場合は、戦時がノイズなのか、日常がノイズなのか、とか。
8.17.2012
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