日曜日、シネマヴェーラでは1本だけみました。
『天使の眼、野獣の街』(2007)。 英題は"Eye in the Sky"。
本作でのJohnnie Toはプロデューサーで、監督は『PTU』や『エレクション』の脚本のひと。
おもしろかったー。
冒頭から暫くのあいだ、台詞は殆どない。カメラの位置と動き、目線だけで、その目線を追う目の動きを意識し、監視というのはそんなふうに視界を区切って、焦点を絞って、天と地の両方から対象を追っかけていくことだ、というのを、その導入から説明してくれる。 ひたすらかっこいい。
例えば近年のTony Scott作品のデジタルでばりばりこまこまに編集した追跡や監視のシークエンスに単純にかっこいい!てぞくぞく興奮して、いっそのことずっとこれが続けばいいのに、ていうあれがずうっと続いていく、というか。
もちろんトニスコの、金かけまくり128トラックマルチみたいなゴージャスなかんじはないけど、ひとがいっぱいわらわらいるところを、機械であるところのカメラが針の穴を目がけて泳ぎまわる、そのスリルはじゅうぶん楽しめる。
香港警察の監視班ていうとこに配属された新人の女の子 - かわいそうにいきなり「子豚」ってコードネームをつけられてしまう - が上司(サイモン・ヤム)に鍛えられて成長していくお話と、彼らが追っかける宝石店強奪犯との攻防が並行して描かれてて、まあこんなお話はTVの刑事ものでもいくらでもありそうなのだが、ありがちな各登場人物のキャラ説明は殆どなく、あくまで全編を通して貫かれる「監視」という行為と、監視から派生する一連のアクション(判断ミスや感情の爆発も含め)に全てを集中させていて、その試みはうまくいっているとおもった。
監視される側の親玉である「影の男」は、「エレクション」でもサイモン・ヤムと対決していたレオン・カーフェイで、いっつも数独しててもの静かで「影の男」としてあるのに、突然、一瞬で凶暴な、おっそろしいことをする。
おそろしいことは常に監視の外側で起こって、分析も予測もできなくて、だからこわくて、起こると取り乱すしかない。ということを新人である子豚の目と行動を通して我々は学ぶことになる。
更に、監視の内側にあるのであれば、ターゲットは常に複数あらわれるのだ、ということを、肝心な場面でで並行して現れる誘拐犯を通して、我々は知る。
やばいことは監視カメラでは見通すことができない闇夜でおこる、しかし、だからこそ携帯での即時の連絡が重要な意味をもつ、というJohnnie To作品の原則を改めてふうむ、と思ったりしてみるのだが。
雨があがって傘がぱたぱたと閉じられ、「空からの眼」が全開となるあのシーンは、象徴的だけど、ちょっと御祝儀ぽかったかも。
ま、とにかく、子豚がんばれ、ということね。
後半、特に最後のほうはちょっとだけテンション緩んだかも。
だいたいあんなとこで小話せがんでどうするよ。 死んじゃうだろうがー。
で、このあとで銀座にいったの。
3.21.2011
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