3.09.2011

[art] J.J.Grandville

あぴちゃぽんの後で、練馬に行きました。
もちろん、練馬なんて見たことも行ったこともなかったので、たいへんに緊張して胃が痛くなる。
DとかFとかQとかで、奥のほうの未踏の地に分け入っていくかんじ。 
だいたいなんで副都心線が西武と東武の両方に繋がっているんだかわからない。 
どっちかにしてほしい。

このコレクションのベースとなった鹿島茂さんの古書探訪のはなしは、JALだかANAだかの機内誌かなんかに載っていて、これはとっても危険な読み物だった。 読んでいるとものすごくむらむらしていらいらして、機内で飛び降りるわけにはいかないからよかったものの、地上だったらすぐに飛びだして古書街に突撃して大惨事になるところだった。 

で、そんな中にたしかグランヴィルの話もあったような気がする。

いちおう、お上品(そう)なマフ猫がマスコットのように前に出ているが、そんなかわいらしいもんではないの。

ヒトの替わりに動物をまんなかに据えた風刺画とか滑稽画が殆どなのだが、その物量と描きっぷりがすごい。
動物は無表情で、言葉が通じなくて融通がきかなくて、本能と欲望のみで動いていて、自分のことばかり考えてて、いっつも群れたりしてて、臭くても汚くてもへいきで、要するに手に負えない。

そういう手に負えない奴らが、官僚だったり警察だったり裁判官だったり会計士だったり貴族だったり隣のおばさんだったりする。 うんうんそうだよね、あはは、て最初は笑ってみているのだが、そればっかりが延々続いていくと、自分もこんな世界の一部なんだな、こういうアニマル連中に使われたり、怒られたり、税金とられたりして生きているんだよね、いいことなんてちっともねえや、とだんだん自虐的な、なんともいえないかんじに滅入ってくる。  
大昔のガロとかにあった自虐系漫画を読んでいるようなかんじ、というか。

それを暗いからいけない、とか言うつもりはないし、最近の自治体とかがどういう目的で作っているんだか知らんが人畜無害の、なんでも「かわいー」で済ませようとするキャラ連中のタチの悪さ、気持ち悪さよか断然こっちのがましだとおもうものの、なんかこれらの動物たちは、妙にリアルに訴えかけてくる。 なんだろ。 ぞろぞろぞわぞわ。

日本にも昔はこういう、滑稽さを笑う、ような文化はいくらでもあったと思うのだが、いつ頃からなくなってきたのかしら。 その分、(マス)メディアはどんどん狡猾に、性悪になっているような気がしてならないの。
或いは、(ここにあるような人間の擬動物化ではなく)動物を擬人化して愛でる、という最近顕著な傾向は、ほんとに陰惨で気色わるい動物虐待の傾向と表裏の関係にあるよね、とか。

グランヴィル本人も晩年は精神を病んでいった、とか、最後のほうの植物の絵は明らかに精彩を欠いているのを見ると、そうだろうなー、とおもったりした。

とにかく、かわいーと思って寄っていくと、猫に引?かれたり豚に噛みつかれたりするのでご用心を。 一回くらい噛まれて痛い思いをすればいいか、とか。

それにしてもラ・フォンテーヌの『寓話集』ほしいなあ。 どっかに落ちていないかなあ。

とにかく、動物と古本好きなひとには必見の展示だとおもいましたの。
(て版画に登場するこましゃくれた猫とかが言いそうなー)


帰りに新宿によって、Disk Unionで何枚か買う。
Dum Dum Girlsの12inchと、PJ Harveryの7inchと、2000円安くなっていたJoy Divisionの7inch boxとOrange Juiceの太鼓猫トート付きboxとどっちにするか悩んで、結局前者にした。

さっき、WBSにMcNally Jacksonが出ていた。 店内に突然置かれたあの機械のなぞがわかった。

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