5.17.2021

[film] La permission (1968)

グチみたいなことばかり書いていても滅入ってくるので見てきた映画のことを少しづつ書いていきたい。

5月8日、土曜日の晩、Film Forumのヴァーチャルで見ました。英語題は“The Story of a Three-Day Pass”。日本公開はされていない?

アメリカ人監督Melvin Van Peeblesの長編デビュー作なのだが、これはフランス映画で、映画監督になりたかった彼はこれを当時のフランスの制度を使って、彼自身がフランス語で書いた小説 - “La permission”の映画化という名目で映画監督になって撮ったのだという。音楽担当ももちろん彼。

冒頭、フランスに駐留するアメリカ軍の伍長Turner (Harry Baird)がひとりでバスルームの鏡に向かって昇進できるかできないか、みたいなことをぶつぶつ言っていると、鏡の向こうからもう一人の自分が話しかけてきて、それはお前の功績によるものではなく、白人上官のCaptain Lutz (Harold Brav)におべっかを使った結果にすぎないのだ、とか言われる。

けど実際には昇進できて、上官から3日間の休暇を貰った彼は喜び勇んででパリに出ていくことにして、目一杯おしゃれしてかっこつけて街に出ていく。ここでのパリのラフで雑多な街角、カフェ、戦争記念館の見学、ストリップクラブ、ナイトバーのドキュメンタリーのような描写が向かっていく彼をあげて煽って、Turnerが直面する現実と膨れあがった期待と妄想 - 鏡の向こうに現れるもう一人の冷静な彼も含まれる - の衝突がぐちゃぐちゃ落ち着きなくておもしろい。

ここまでだと都会(パリ)に出てきた田舎者(アメリカ人)のやや痛めの教訓話になってしまう手前でMiriam (Nicole Berger)が彼の前に現れて、彼の方を見つめてきて英語とフランス語のぎこちない会話にものってくれてダンスして、そのままノルマンディの海の方への旅行に誘ってみたら乗ってくれたので、大盛りあがりで準備をする - 残されたのはあと2日。

こうしてふたりの車での小旅行になると、これはパリの夜の行き当たりばったりのどたばたをよりミクロに鼻息荒く拡大して見せたようなものになって、そこには人種差別の要素も入ってきたりして大変なのだが、道中に(Turnerが捕えた)Miriamのいろんな表情や動きがきらきら入ってきて素敵ったらないので、Boy Meets Girlものの古典だと思った。そういえば少し前に見た”Death Takes a Holiday” (1934)も外から休暇で現れた男 - Death - が3日間で相手の女性をどうする、っていう話だった。

最後にはまた上官が絡んできて怒られるかも懲罰委員会かも、になるもののその辺も含めての“La permission”のお話になっていて、いろんなものをぶち込んでかき混ぜてみたその勢いはどこまでも瑞々しいったらない。

なお、Miriam役のNicole Bergerさんは映画が公開される1年前に亡くなってこれが遺作となってしまった。すばらしく素敵な笑顔なので見てほしい。

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