4.07.2018

[film] Unsane (2018)

25日の日曜日の夕方、Picturehouseで見ました。 ”The Square”に続けてあんま日曜日ぽくない暗めのやつ。

Steven Soderberghの復帰(?)第二作で全編をiPhone (7 Plus)で、10日間で撮ったという。

職場でちょっと挙動の落ち着かないSawyer (Claire Foy)がいて、彼女はストーカーから逃れるために新しい職場に越してきたのだと言い、更に相談所に行ってカウンセリングを受けてその横の病院のようなところで書類にサインしたらそのまま別室に連れていかれて着替えるように言われて、え …ちょっと、なにこれ? とか言っているうちに隔離病棟のようなところに閉じ込められる。

冗談じゃないわよ警察に電話よ、て電話して警察も来るのだが、いつもあることらしく鼻歌で帰っちゃって、更に暴れてみたら拘束期間が更に延びてしまう。

始めは彼女の語るストーカーの件が本当に起こっていることなのか彼女の妄想 or 過去の話を誇張し過ぎているのかわからないようなかんじで進んでいくのだが、彼女の抵抗とそれに対する病院側の強硬で高圧的な態度が度を越していくのを見て、これはやっぱし本物かも、と思ったあたりでストーカーのそいつが施設の職員として現れる、というかそこにいる、その辺の「いる ..」っていう輪郭とかタイミングとか絶妙すぎて怖すぎて。

そこからは彼女の脱出 – その建物からの、そのストーカーからの – に向けた決死の抵抗と逆襲になって、収監されている男から携帯を借りて母親(Amy Irving)をCallして来て貰ったりいろいろ手を尽くすのだが、敵はそういう施設まで周到に彼女を追いこんだような奴だし、彼女の考え方も含めてぜんぶ解っている - 思いこみではなく、冷静に解っている - から、あれもこれもぜんぜん歯が立たなくて地獄なの。

後半は彼女がどうやってその地獄から抜け出そうとしたのか、を追って、確かに十分おっかないのでホラー・サスペンスと言えばそうなのだが、彼女の側にほぼぴったりくっついたカメラは、こんなんなった時、自分だったらどうするのか、どうすべきなのか、なんでこんなんなっちゃったのか、そんなことばっかり考えてさせてくれるので、怖がっている場合にはあんまならない、ていうのはSoderberghの他の映画にも割とそういうとこあるかも。

最後のほう、ストーカーと対峙した彼女がダブルバインドで相手を追い詰めるとこはなかなかすごかった。 なるほどなー、って。
あと、こういうのがほんとに怖くてやっかいのは終わらないことなのだな、ってしみじみ震わせる振りだしに戻ってしまったかのような最後のとことか、むかしのB級映画ぽくて素敵。

Claire Foyさんは過剰にわーきゃー騒ぎすぎず、自身が正気と狂気の狭間にあることを十分にわかっているような振る舞いで、さすがThe Crownだわ、って思った。

ほんとにiPhoneで撮ったのかしら? って最初は疑っていたのだが、画面の暗さとか視角の狭いかんじとか確かにそうかも、って。 でもそれなら10日もかかるかなあ。 黒沢清だったら同じ条件で半分で仕上げてしまえる気がする。


ぜんぜん関係ないけど、今TVで”1941” (1979)をやってて、あまりのしっちゃかめっちゃかなやかましさに感動している。 見たのは公開当時以来で、これと”Apocalypse Now” (1979) で自分の戦争映画観みたいのは形作られているのだよねえ。

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